東京商工リサーチ(TSR)は12月5日、2016年1月から10月にかけて、「不適切な会計・経理」を開示した上場企業に関する調査結果を発表した。

同社によると、2016年1-10月までの間に不適切会計を開示した企業は48社(49件)で、前年同期の43社(44件)を5社(11.6%)上回り、件数も5件(11.3%)上回ったという。調査を開始した2008年以降では社数、件数ともに最多を更新し、2012年から5年連続で増加している。

不適切会計の動機で最も多かったのは「売上の過大計上」や「費用の繰り延べ」、「不明瞭な外部取引」など、業績や営業ノルマの達成を目的とした『粉飾』が21件(構成比42.8%)だった。これに、経理や会計処理のミスなどの『誤り』が19件(同38.7%)、会社資金の『着服横領』が9件(同18.3%)と続く。

発生当事者別では、開示当事者である「会社」が23社(構成比47.9%)、23件(同46.9%)で前年11社(12件)から倍増した。内容をみると、会計処理が細かくチェックされ処理手続きの誤りを指摘されたケースや、引当金処理の誤り、売上高や仕入高の認識の違いから修正するケースがあったという。

市場別では、2013年までは業歴が短く、財務基盤が比較的弱いマザーズ、ジャスダックなど新興市場が目立っていた。だが、2014年を境に状況は変わり、2015年・2016年は国内外に子会社や関連会社を多く展開する東証1部が多くを占め、2016年は23社(構成比47.9%)と約半数を占めたとのこと。

業種別では、製造業が14社(構成比29.1%)、15件(同30.6%)で最も多かった。これに、運輸・情報通信業の8社(同16.6%)、8件(同16.3%)、卸売業7社(同14.5%)、7件(同14.2%)、小売業の6社(同12.5%)、6件(同12.2%)と続いている。

2016年(1-10月)不適切会計を開示した企業 資料:東京商工リサーチ