日立製作所は30日、顧客協創のプロセスの一部であるプロトタイピング(試作)・価値検証を顧客やパートナーとともに行い、オープンイノベーションを実現するためのオープンラボを横浜研究所に開設、2016年12月から運用を開始すると発表した。

オープンラボ 内観(左からオープンオートメーション、システムモダナイジング、セキュリティオペレーションのラボ)

同オープンラボは、特定の事業分野で新たなアプリケーション技術を開発する3つのラボと、事業分野を横断するプラットフォーム技術を開発する2つのラボから構成されている。これ以前より同社は顧客と課題を共有し、ともにソリューションを創り上げる「協創」の取り組みを推進しており、2015年10月には顧客協創の過程でデザイン思考を活用して課題やビジョンを共有する手法、ITツール、空間を体系化した顧客協創方法論「NEXPERIENCE」を構築。それと同時に、NEXPERIENCEに基づいた協創を促進する施設である「顧客協創空間」を東京社会イノベーション協創センタ(東京・赤坂)内に開設した。

今回横浜研究所内に開設されるオープンラボには、未来のモノづくり環境を提供する「オープンオートメーション」、次世代システム仕様を短期間に協創する「システムモダナイジング」、鉄道、バス、トラック、自家用車などの交通システムの模擬環境を提供し、その将来像を生み出す「交通アナリティクス」、データ処理・分析技術、人工知能、OSS(Open-Source Software)、DevOps(Development and Operations)を駆使した、IoTのデータ活用効果を体験可能な「データ分析プラットフォーム」、投資対効果が高いセキュリティ対策を協創する「セキュリティオペレーション」といった計5つのラボが設置されている。

それぞれの分野に対応する人工知能、アナリティクス、ロボット、IoT、セキュリティなどの最先端技術や開発環境が整備されているため、同社が有する先端技術の効果を顧客が体感することができ、また実際のシステムへの組み込み、運用までを共同で推進可能となっているという。顧客と共同でプロトタイピングと価値検証を行い、将来の社会課題の解決を含めた未来志向のイノベーションの創生に貢献するアプリケーションやプラットフォームの技術開発を目指していく。