――昨今、素人さんを扱う番組が増えて生きているように思うのですが、そうした番組が増えていることについて、何か思われることはありますか?

僕もぶっちゃけで言うと、芸人さんとワイワイやるバラエティ番組のほうが自分に合っているかなって思った時期がありました。ですが素人さんを取材させてもらうと、芸人さんも超える瞬間、予想を超える瞬間があるんですね。よりハプニングが起きやすいと言えるかもしれません。

――確かに今、ネット動画などで素人さんがさまざまなことを発信されていて、それがよく話題になっています。

そうですね。それで視聴者の方々が素人さんを受け入れやすい素地も出来てきているような気がします。テレビ番組のように"作られたもの"ではない魅力もあるでしょうし、そこに自分を重ね合わせやすい部分もあるでしょう。素人さんは芸人さんたちのように一芸に秀でた方ではないのかもしれませんが、親近感という部分では強い。……ただ、実は僕も素人さんで番組を作っている予定はなかったんですけどね(笑)。これまで僕は芸人さんで番組を作ったこともあり、そういったディレクションの一生のプランから言うと「なんで僕は外国人を撮っているんだろう?」と、ポカンとすることがたまにあります(笑)。

――ちなみに、森さんのディレクションのこだわりとは?

例えば『YOU~』であれば、カメラを回していない中で密着している外国の方とお酒を飲んでみたり。めちゃめちゃアナログな"飲みニュケーション"という古いやり方をしていますね(笑)。この番組の僕の上司とも「僕たちは昔の古いテレビの作り方をしているね」という話をよくするんです。

――それは具体的にはどういうものですか?

"まず現場が面白いと思うものを"という発想だったり、"足で稼ぐ"こと。今はインターネットがあって、正直リサーチも楽。でも僕たちはちゃんと足で稼いで作り上げていく。また小さい子からおじいちゃんおばあちゃんまで皆で楽しめる番組を作るということ。限定された層を狙った番組も好きですが、家族で楽しんで見てもらっていることは僕たちの誇りにもなっています。

――最近、ネットのSNSや掲示板などで「最近はテレ東さんの番組をよく見る」「テレ東さんの番組が安定している」「面白い」などの声が挙がっているのは「現場が面白いと思うものを作る」という当然のことをやっているからでしょうか?

かもしれませんね。この番組もそうですし。この番組では僕らディレクターは顔出しで撮影しているのですが、そんな"顔"の見える、身近な"隣のあんちゃん"が作っているぐらいの感覚で、でも「なかなか面白いことをやるね」ってことがウケているように思います。またテレビ東京って昔から、『TVチャンピオン』(1992年~2006年)や『徳光和夫の情報スピリッツ』(1995年~2004年)など、伝統的に、素人さんといい関係性を持った番組を作るのを得意としている部分もあると思いますし。

――そうして尖って作ったものが、他局でもフォーマット化されていく流れも感じられます。

この番組も認知度が上がってトンガリ度は薄まってはいるかもしれないんですけど、深夜の頃とかガチガチに尖っていたと思いますね。密着の約束をした外国の方が来なくても むしろ、「それを放送しちゃえ」みたいな(笑)。「大丈夫か?」、「でもそれで尺(放送時間)が2分持つから大丈夫」っていう(笑)。そもそも、そんな簡単に密着なんて撮れませんから。

――逆にリアルだと。

そう。それに、どうしても密着がメインになるのですが、現場のディレクターが最も力が入るのは実は、成田空港のインタビュー。短い2、3分の枠ですけど、彼らが何をしに来たのか聞いてみたり、密着はできないけどユニークなキャラがいたり。モデルさんみたいな人がいてモデルポーズを取ってもらったり。これも放送されているのですが、僕たちも最初はインタビューだけを放送しようなんて全然思ってなかった。密着取材だけのつもりだったんですけど、ディレクター皆で見ていて「インタビューだけで結構面白い」「僕らが面白いと思っているのに放送しないのは違うだろう」と(笑)。こういったマインドだからこそ、番組が未だに続いている部分はあるかもしれませんね(笑)。

――改めて番組への抱負などはありますか?

皆で話しているのは、東京オリンピックまでは続けようと。ただ、オリンピックの年は、オリンピックで来た人しか密着できなくて、スポーツの映像ばかりになるのでは、という懸念はあります(笑)。

『YOUは何しに日本へ? マーティン&ニセコYOU編』
発売中 2,800円(税抜)収録時間:本編163分+特典映像
MC:バナナマン(設楽統、日村勇紀)、ナレーター:ボビー・オロゴン

――先日、日本に来る海外旅行者が過去最高を記録したということもニュースになり、番組にも追い風が吹いているようにも思います。

その追い風にうまく乗れたってことはあるかもしれません。政治家の麻生太郎さんも公演会でこの番組について「とても素晴らしい番組です」みたいな話をされていて。政治家の先生方が見るような番組ではないんですけど(笑)。ただ、外国の方々から見たリアルな日本の姿が見られますし、僕らは"ドキュメンタリー"だと思って作っている部分もある。今後も"笑えるドキュメンタリー"を作っていけたらと思います。

――最後に、この番組のDVDの見どころを教えてください。

DVDでは、私をはじめ現場にいたディレクターが副音声で、マニア向けにいろいろ話をさせていただいています。いつもの『YOU~』とは違った楽しみ方もしてもらえるかなと思っていますし、また何回見ても「後ろにこんなものが映っていた!」など新たな発見もあるはず。初めて見てくれる方には、何が起きるか分からないところを楽しんでもらえれば。いきなり「川の中に飛び込んじゃった!?」など、想像をはるかに超えてくれるはずです。永六輔さんの「最後は素人さん」ではないですが、どんなに偉い作家さんでも書けないような、何が起こるか分からない、"成田空港から始まる旅"をぜひ楽しんで下さい。

(C)テレビ東京