ソフトバンクは11月24日、IoT機器向けのLTE規格であるNB-IoT(NarrowBand-IoT)を利用したスマートパーキングの実証実験をプレス向けに公開した。

実証実験は、駐車場に設置されたNB-IoTモジュールを使って、駐車場の空き情報を把握し、その情報を使ってスマートフォンで駐車場の予約および決済を行うというもの。同様のソリューションはすでに中国のファーウェイが展開しているが、今回ソフトバンクが提供するのも同様のもの。

実証実験の構成

駐車上に置かれたNB-IoTモジュール(実際には路面に埋め込まれた状態で設置される)

実験用のNB-IoTの基地局

NB-IoTモジュールに搭載されるARMベースのNB-IoTチップ(左)とNB-IoTモジュールの内部(右)

実験では、NB-IoTモジュール上に自動車を止めると駐車場が使用中になり、出庫すると空きになるデモが行われた。実際に駐車場に止められた車が予約と同一かなど、運用上の課題については今後検討するという。

スマートフォンアプリの駐車場の位置表示

アプリ上から駐車場の空き情報を確認し、予約ができる

スマートフォンから決済も可能

今回の実験は、来たるIoT時代を見据えたものだ。同社では、IoTデバイスは2015年には46億個だったものが、2021年にはその3倍となる157億個になると予測しており、そのため、1つの基地局に接続できるデバイス数を拡張する必要がある。

ソフトバンクが予測するIoTデバイス数の推移

また、各テバイスに搭載されるIoTモジュールコストは1デバイスあたり、5-10ドル以下、バッテリは充電なしで10年以上稼動し、カバレッジも拡張することも必要になるという。

各機器に搭載されるIoTモジュールの要件

同社ではこれら条件に合うIoTの通信規格として「Cat.1」「Cat.M」「NB-IoT」を想定しており、今後これらの通信規格を用途に応じて使い分けていくという。具体的には、「Cat.1」はインフラ監視や農業、「Cat.M」はヘルスケアやウェアラブル、「NB-IoT」はコネクテッドカーやサイネージなどの用途を想定する。

ソフトバンクが現在想定する主なIoTの通信規格

そのため、同社では来年夏から、数万ある同社の基地局でこれら3つの規格に順次対応する計画だ。それにより、1つの基地局で対応できるデバイス数は現在の1000デバイスから5万デバイスに拡大する。

来年夏から全国の基地局をIoT対応に

そして同社では今後、幅広いIoTニーズに対応するため、NB-IoTの商用化に向けて継続的に接続性などの技術検証を実施していくという。