育児支援のNPO法人や大学教授などが作る「長時間労働撲滅プロジェクト」は11月22日、加藤勝信 働き方改革担当大臣に長時間労働の是正を求める署名4万筆余りを提出。厚生労働省にて開かれた記者会見では、「労働時間の上限設定と、インターバル規制の義務化が必要」と訴えた。

左から、ワーク・ライフバランスの小室淑恵 代表取締役社長、NPO法人ファザーリングジャパンの西村創一朗 理事、同法人の安藤哲也 代表理事

加藤大臣に提出されたのは、大手広告代理店で働いていた女性社員の過労死を受けて実施していた「長時間労働撲滅キャンペーン」の署名、4万筆余り。事実上、労働時間の上限設定がない労働基準法の改正と、労働終了時刻と次の開始時刻の間に一定の休息時間を設ける「インターバル規制」を義務化するよう求めている。

父親の育児を支援しているNPO法人ファザーリングジャパンの西村創一朗 理事によれば、署名には「息子が月に100時間を超える残業をしている」「父親を過労死で亡くした」「仕事以外の娘と過ごす時間がほしい」などの切実な声も寄せられているとのこと。加藤大臣は署名を受けとり、「働くために生きるような状況は絶対に変えたい」と語ったという。

プロジェクトの呼びかけ人の1人であり、働き方についてのコンサルティングを手がけるワーク・ライフバランスの小室淑恵 代表取締役社長は、「労働力不足の中で、長時間労働の是正は、"今"解決しなければならない課題だ」と主張。晩産化によって、育児と介護を両立しながら、共働きをする家庭は今後ますます増えると見込まれることから、「仕事だけに時間を割くことはできなくなる」と警鐘を鳴らした。

小室氏によれば、同社がコンサルティングし、労働時間を減らした企業は業績を伸ばしているほか、子どもの出生率も向上しているとのこと。「第2子以降の出産と、夫の育児参加率との相関関係を示すデータもある。少子化との関連性についても認識してほしい」と訴えた。さらに、ファザーリングジャパンの安藤哲也 代表理事も、「働き方を変えなければ、お父さんたちが平日に育児に関わるのは難しい」として、その必要性を主張した。

署名は働き方改革実現会議にて、安倍首相にも手渡されることになっている。