Appleが10月27日(米国時間)に開催したスペシャルイベントで発表した新「MacBook Pro」。ラップトップのMac「PowerBook」を登場させてから25年となる今年、Appleはノート型のMacをさらに進化させた。有機ELパネルを用いたマルチタッチディスプレイ「Touch Bar」など新たに導入された機能紹介を中心に、早速、ファーストインプレッションをお届けしよう。

Touch Bar搭載MacBook Pro

箱から取り出した瞬間、思ったのが、あれ? MacBook Proっぽくないなということだった。カラーラインナップがシルバーとスペースグレイという2種類になったこともあるが(従来はシルバーのみ)、Appleロゴ部分が鏡面仕上げになり、ディスプレイとキーボード部をつなぐヒンジもアルミが採用され、ユニボディとなっている。そう、最軽量モデル「MacBook」と同じなのだ。サイズも、15インチモデルは前世代より14%薄く、容積は20%小さい。13インチモデルではなんと、17%薄く、容積は23%少なくなっている。持ってみても、あのずっしりした感覚はない。片手でひょいと持ち上げられ、MacBook Proを手にしている感じがしないのだ。フットプリントも小さくなり省スペースとなったことで、特に15インチモデルにおいては、より設置がしやすくなった。

6方向からのカット。今回はスペースグレイをレビュー

プロセッサは第6世代のIntel Coreプロセッサを搭載。パワフルな処理能力に加えて、ネットサーフィンやEメールのチェックなどの軽めのタスクに於いては、電力を節約する機能が備わっている。第7世代のプロセッサは、未だモバイル用のものが供給されていないので、現時点では最速のパワーを誇る。オプション選択で最大仕様にした場合、13インチはデュアルコアの3.3GHz(Turbo Boost処理時3.6GHz)、15インチはクアッドコアの2.9GHz(Turbo Boost処理時3.8GHz)となる。グラフィックスは、13インチモデルでは64MBのDRAMが組み込まれ、一世代前のモデルと比較して最大103%の速度向上が図られ、15インチモデルに於いては、ディスクリートのAMD Radeon Pro 455を搭載したことで、こちらは一世代前のモデルと比較して最大130%、速度が向上している。フラッシュストレージも更新され、最大で100%速くなった。加えて、15インチモデルでは初めて2TBのSSDを選択できるようになった。筆者はモバイル環境で映像や音楽制作を行っているが、正直、1TB程度のストレージでは容量がしんどく、2.5インチのハードディスクを積んだMacBook Proを使い続けてきた。しかし、2TBで回転数が7200rpmある製品の数は非常に少なく、しかも結構な値段なので、どこかのタイミングでSSDに切り替えるか、本体丸ごと新調しようとは考えていたのだが、これで決まりかなという気がしてきた。

13インチモデルと15インチモデルの大きさの比較

ディスプレイはさらに明るく、さらに鮮やかになった。変な表現だが、67%高くなったコントラスト比のおかげで、黒はより黒く、白はより白く映し出される。色域もsRGBより 25%広くなった。この辺りは4K iMacで導入された技術が転用されているという印象だ。かねてから、Appleはディスプレイ搭載機器については、デジタルシネマ規格であるDCI-P3への対応を進めており、新型MacBook Proもその流れを汲んでの仕様となっている。手元にMacBook(2015モデル)があったので、13インチモデルと並べて見比べてみたが、明らかにMacBook Proのほうが彩度が高く、輝度も高い。また、システム環境設定でディスプレイの項目を見てみると、MacBookの擬似解像度が1400×900なのに対し、MacBook Proでは1680×1050となっており、サイズの差は1インチながらも、より広いスペースで作業できるようになっている。さすがにこの辺は「Pro」な仕上がりだという感じではある。

スピーカー部の比較。上が13インチ。15インチのほうが少しサイズは大きめ

スピーカーも再設計され、ダイナミックレンジは2倍に、音量は最大で58%大きくなった。低音も2.5倍大きくなり、リッチなサウンドを楽しめる。ちゃんとローが出るようになったのも含めて、会話の最中などで、ちょっと音量下げないとって場面に遭遇することもありそうだ。リファレンスモニターでということはないとしても、少人数でのプレゼンやデモ、就寝前のBGM用にオーディオを流す分には申し分ない。スピーカーはシステム電源に直接つながっているので、使用できるピーク電力は最大3倍アップしている。