日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は11月9日、産業機器やロボット、車載アプリケーションなどで必要とする高効率モータ設計を可能にする電流センスアンプ「INA240」を発表した。

同製品は、エンハンスドPWM(パルス幅変調)リジェクション機能を初めて内蔵したシャント型電流センサ。同機能を活用することで、インラインでモータに流れている電流を計測する場合、過渡波形の抑圧特性を改善し、リンギングを抑え、ブランキングタイムの短縮を可能となるため、モータ制御アルゴリズムを最適化することが可能となる。

100kHzを超すPWM周波数にも対応し、最大10V/nsのスイッチング・エッジレートで動作すると同時に、最大80Vのシステム電圧が可能なほか、5μVのオフセット電圧、50nV/℃のオフセットドリフト、0.05%のゲイン誤差を実現。これらの性能とエンハンストPWMリジェクション機能を組み合わせることで、PWMのグリッジ波形を除去でき、競合製品に比べて、よりきれいな波形を取り出すことが可能になるという。

具体的には、例えばCMRが80dBの差動アンプを使ってオペアンプを構成することを考えた際、電源電圧60Vの同相モード電圧が印加されている場合において、48VのVcm変化がベースラインから発生する。80dBのCMRで48Vの変化は、オフセット電圧に4.8mV追加する必要がでてくるが、これに対し同製品では、全温度範囲で120dBのCMR、-50~+125℃の135dBのCMRが実力値であるため、80Vの場合で、0.2μVまでオフセット電圧追加で済むことになるとする。

なお、同製品は、3mm×4.4mmの8ピンTSSOPパッケージですでに提供されており、1000個受注時の単価(参考価格)は0.99ドルとするほか、EVM(Evaluation Modules)も単価(参考価格)25ドルで提供される。また、AEC-Q100対応の車載対応品についても2017年第1四半期に提供することを予定しているほか、GaNを使ったハーフブリッジパワーステージと組み合わせたリファレンスデザイン「TIDA-00909 reference design」もガーバーデータなどを提供しており、GaNの特徴を活かした、より高いPWM周波数での使用も評価することが可能となっている。

INA240の概要。すでに各種のデータシートやテクニカルペーパーなども用意されている