au・ソフトバンクの制約の多さも問題に

NTTドコモのネットワークがなぜ扱いやすいのかは、他キャリアと比較すると分かりやすい。NTTドコモは、保有する周波数帯に関してはやや日本独自の部分があるものの、3Gの通信方式は世界的に用いられているW-CDMA方式であることから、3G・4G双方のネットワークに対応したスタンダードなサービスが提供できる。

だがauは、保有する周波数帯がNTTドコモ同様日本独自の部分が強いのに加え、3Gの通信方式に、世界的にマイナーなCDMA2000方式を採用するなど、ネットワーク構成が非常に特殊なのである。そのためauは最近、3G回線を使用せず、LTEネットワークのみに対応した通信サービスの提供が主になっているが、その場合LTE回線で音声通話ができる「VoLTE」に対応した端末でないと、通話ができないという制約を抱えしまう。

そうしたネットワークに起因する問題が、auのネットワークで利用可能なSIMフリー端末が劇的に少ないという大きなデメリットにもつながっているのである。最近になってようやくauのVoLTEに対応したSIMフリー端末が増えてきているが、NTTドコモと比べると非常に大きなハンディキャップを抱えていることに変わりはない。

auのVoLTEに対応したスマートフォンは増加傾向にあり、UQコミュニケーションズは10月25日の発表会で、対応スマートフォンが8メーカー12機種に増えたとアピールしている

一方のソフトバンクは、保有する周波数帯は世界的に利用されている標準的なもので、3Gの通信方式もW-CDMA方式を採用しているなど、ネットワーク面では非常に扱いやすいように見える。だがソフトバンクは使用する端末によってSIMが異なる仕様となっており、iPhoneを利用する場合はiPhone用のSIM、Android端末を利用する場合はAndroid用のSIMが提供され、さらにその種類も複数にわたるなど、NTTドコモのように1枚のSIMでどの端末でも共通して利用できるわけではないのだ。