10月7・8日、2ndアルバム『It's my CUE.』を引っさげたワンマンライブ「Azusa Tadokoro LIVE 2016~before the CUE/OVERDRIVE&DISTORTION~」も大成功させ、ロックシンガーとしての道を着々と歩み始めている声優・田所あずさ。

田所あずさ(たどころあずさ)。1993年11月10日生まれ。茨城県出身。ホリプロ所属。主な出演は『アイドルマスター ミリオンライブ!』最上静香役、『アイカツスターズ!』二階堂ゆず役、『無彩限のファントム・ワールド』ルル役、『TRICKSTER -江戸川乱歩「少年探偵団」より-』中村奈緒役など

今回は、10月26日発売の4thシングル「1HOPE SNIPER」、そして2017年4月からスタートするライブツアー「AZUSA TADOKORO LIVE TOUR 2017 ~DilEMmA~」について直撃した。

手慣れた感をちゃんと出さないといけない

――髪を染められてかなりイメージが変わりましたよね。いままでずっと黒髪だったから、その印象が強いです。

確かにずいぶん変わったと思います。「1HOPE SNIPER」のMVに合わせて染めて、前髪も分けてみました。今まで通り黒髪のぱっつんだと格好つかないねって話をして。

――『アイドルマスター ミリオンライブ!』のラジオ『ミリラジ』でも「髪は染めない」と言っていたので、意外でした。

気が変わらなければこのまま行くと思います。結構気に入っています!

――私もとても似合っていると思います! そんな「1HOPE SNIPER」ですが、ますますタドコロック感が増しましたね。

最近みんな「タドコロック」って言いたいだけみたいな感じがしますー(笑)。

――そんなことないですよ! まず楽曲全体のコンセプトについてお伺いできれば。

はい! 現在放送中のTVアニメ『TRICKSTER -江戸川乱歩「少年探偵団」より-』のエンディングテーマということで作品に寄せています。楽曲を作っていただいたQ-MHzさんに「若者のもやもや感」を書いていただいて、田所史上一番クールな楽曲になったんじゃないかと思います。もう、イントロの時点で「好き!」ってなった曲ですね。でも、楽曲のスピードがすごく早いんですよ。エンディングの90秒の中に2番まで入ってしまうくらい。なので、私に歌えるのかなってびびっていました(笑)。

――Q-MHzさんといえば、2016年7月6日に発売した2ndアルバム『It's my CUE.』の「Fighter's high」を思い出します。あの時は「苦しすぎて酸欠になって腰が痛くなりました」と言っていましたね。

今回は酸欠にはならなかったんですけど、噛んじゃって噛んじゃって! 歌で噛むという経験はいままでなかったんですよ。「1HOPE SNIPER」は言葉が詰まっていて、リズムを取るのが難しかったんですけど、少しでもずれるとダサくなってしまうので、何度も歌わせていただきました。叫ぶ箇所もあって大変なんだけど、手慣れた感をちゃんと出さないといけない。一所懸命歌っていると格好悪いじゃないですか。私にとっての挑戦が詰まっている曲ですね。

――まるで白鳥のよう。歌詞でいえばどこが苦労しました?

やっぱり1番のAメロからですね。いや、サビも難しかったですね。もう、全部です!

――そんな中、好きな箇所は。

Dメロ「安心の信号に黄色が灯る」のメロディがすごい好きです。歌詞も、自分を奮い立たせている感じで、「うまくいかないけど、こうしないと生きられない」という想いには共感できます。

――非常に田所さんらしさを感じます。アニメ『TRICKSTER -江戸川乱歩「少年探偵団」より-』のエンディングテーマということで、多くの方が耳にされると思いますが、特にどういった人に聴いて欲しいですか?

エンディングテーマなので、私のことを知らない人も聴いてくれると思います。私のことを知らなくても、「『1HOPE SNIPER』っていい曲だな」とか、そういう風に聴いてもらえると嬉しいですね。

――今回もMVを撮影されていて、また格好良い映像になりました。

撮影もすっごく楽しかったです! 今回初めて、バンドメンバー「あずさ2号」のみんながイメージシーンに参加してくださって、最初から最後まで全員一緒に撮影できたんです。私が休んでバンドメンバーさんが演技をしているシーンとかもあったりして。いつものMVよりクールで格好良くなっていると思います。


――コーラ瓶のシーンがとても好きなんですよ。

大ちゃん(ギター・加藤大祐)が机の上に置くシーンですね。

――そうです、その後田所さんが瓶を掴んだらペラペラの紙に変わっていて、不敵な笑みを浮かべる。

ドヤ顔で(笑)。MVは『TRICKSTER』にかけて、いろいろなトリックを詰め込んでいます。特に、最後に大きなトリックが隠されているので、ぜひフルバージョンで見てほしいんですよね。まだフルは公開されていないんですけど、機会があればぜひ観て欲しいです!

焼き鳥を串から外すのは革命でした

――「1HOPE SNIPER」には「1日分の大切にしたい想いを狙うんだ」という歌詞がありますよね。田所さんにとって大切にしたい想いとは?

なんだろう……、あっ! ありきたりなんですけど、初心を忘れたくないなとは思います。最近、2011年10月から書いていた日記を見つけて気付いたんです。「周りの人に恩返しをしたい」という思いで頑張っていた昔の気持ちをずっと持ち続けていきたい。ファンの方に対しても誠心誠意、誠実に向き合っていきたいなって。

――2011年10月ころというと、ちょうど「第36回ホリプロタレントスカウトキャラバン~次世代声優アーティストオーディション~」でグランプリを獲得した時ですよね。

はい。マネージャーさんから「日記をつけて」と言われました。当時は毎日が勉強の日々だったので、その日思ったことを書いておこうと。ラジオで話すネタになるかもしれないし。

――どういったことを書いていました?

焼き鳥を串から外す方法とかですね!

――えっ!?

「マネージャーさんから教わった」と書いていました(笑)。私のなかでは革命的な出来事だったんだと思います。我ながらなんだこれはって感じですけど。

――当時は10代だから、なかなか焼き鳥を串から外すことってないですもんね。「こんなことを考えていたんだ」と昔の自分に感心したことはありました?

全部敬語で書かれていて、「誰に対して?」って思いました。ピュアですよね(笑)。まったく覚えていないことがたくさんあって、親戚の子どもの日記を読んでいる気持ちになりました。

――たしかに、デビュー当時はすべてが新しくて忙しくて、記憶もなさそうです。

そうなんですよー。いろいろ飛んでいっています。それを考えると日記をつけておいてよかったなって思いますね。日記帳は何冊もあって、何度もやめたり、はじめたりしていました。やっぱり紙に書くのはめんどうなので、今は携帯でつけています。でも、データだから形として残らないんですよね。あとから読み直すのが難しい。

――携帯で書いたあとに日記帳に写したら。

それめんどくさいですよ! むしろ印刷したいです。最近、記憶力がめちゃくちゃ落ちていって、ラジオで話す内容が何も浮かばないんです。「これはマズイ」と思って日記をつけているんですけど、全然使えない。「今日は『ミリラジ』に行った」とか、手帳を見ればわかることしか書いてなくて(笑)。いまにもやめそうです! そう考えると、昔の私は日記を書く視点が良かったんだなーって。

――それでは、いつかその日記帳を出版されるということで。

いやー、ダメですダメです! 絶対ダメです! 絶対に見せられません!