米Dell Technologiesは、10月18日~20日(現地時間)、米テキサス州 オースティンで「Dell EMC World 」を開催したが、このイベントには、デル 代表取締役社長 平手智行氏とEMCジャパン 代表取締役社長 大塚俊彦氏も参加。初の二人そろってのプレスラウンドテーブルが設けられた。

デル 代表取締役社長 平手智行氏(左)とEMCジャパン 代表取締役社長 大塚俊彦氏(右)

DELLとEMCの統合について、デル社長の平手氏は、「今回、デルとEMCの統合によって大きく進化したポートフォリオを、それによるエクスペリエンスを高く評価してもらえる日本市場で、もう一度ドライブしていこうと思っている。デルは、自社の利益を考えて企業買収を行っているのではなく、お客様視点で足りないテクノロジーを買い取っている。今回の統合によって7つのブランドを持つファミリー企業になった。これは、どちらに統合されたということではなく、両社の強みをさらに伸ばしていく形を実現した統合だ」と、メリットを強調した。

Dell Technologiesの7つのブランド

なお、上図の7つのブランドにおいて、クライアントソリューション事業部は「Dell」、DellとEMCのインフラソリューション事業は「Dell EMC」として運営され、Pivotal、RSA、SecureWorks、Virtustream、VMwareは今後も独立した事業として運営される。

一方、EMCジャパンの大塚氏も、「統合については、お客様から評価されており、大変いいスタートが切れた。今後は、新たな成長モデルやビジネスモデルを作っていくことをお手伝いするデジタルトランスフォーメーション、既存システムの近代化するITトランスフォーメーション、従業員の働き方を改革するWorkforceトランスフォーメーション、セキュリティの4つの柱で顧客の支援を行っていく。今回の統合によって、フルラインナップが揃い、包括的なお手伝いができる」とした。

Dell Technologiesが注力する4つの変革

両社長、好調な実績を強調

平手氏は昨年の8月に社長に就任後、すでに1年が経過したが、同氏はこの1年の成果について「この1年はお客様の満足度を高めるためにサポート体制や、それに付随する社内プロセスの変革を現場のマネージャー80人やお客様を加えて行ってきた。その結果、社内のアンケート調査では、顧客評価が5倍に上がり、マーケットカバレッジに注力した結果、パートナービジネスは前年比で200%増えた。また、コンシューマ市場のシェアもプラス5.6%と大幅に増加している」と、業績の好調さをアピール。

デル・ジャパンの直近の実績

そして同氏は「Dellジャパンは非常に好調だが、EMCとの統合によって、さらに勢いをつけていきたい」と意気込みを語った。

なお、日本法人は好調な業績により、DELLが展開する180カ国の中で、上半期の成長率および達成率が世界No.1となり、最重要投資国の指定を受けたという。そのため、すでに人員は300名増員し、今後さらに同規模の増員を実施する予定だという。

EMCジャパンの大塚氏も実績について「日本は、戦略的な地域の1つだ。今年は『お客様への貢献・営業力強化』、『エコシステムの拡充 パートナー協業の強化』、『戦略製品群および ソリューションの推進』、『ライフサイクル アプローチの強化』、『働きがいのある会社(Great Place to Work)の推進』という5つの軸で展開しているが、戦略的製品であるオールフラッシュは、450%と加速度的に伸び、エンタープライズ、サービスプロバイダ領域は2桁成長を遂げた。また、パートナーは新規で100社増加している」と、好実績を強調した。

EMCジャパンのの直近の実績

以下は、記者の質問に対する両社長の回答で、Q&A方式で記述する(敬称略)。

今後の統合計画は?

平手: 法人格としての統合はこれから検討していくが、お客様のサポートと継続性についてはすでにでき上っている。製品事業は、エンタープライズ、クライアント、サービスの3つに分類され、Go-To-Market市場は、大手(Enterprise)、中堅~大手(Commercial)、中堅~コンシューマの組織に整理した。

大塚: 法人として統合はこれから検討する。今後は、製品サポートやサービス体系といったものをしっかり整備して、パートナー対応を整理統合していく。

今回、PowerEdgeサーバベースの新しいコンバージドインフラの「VxRail」が発表されたが、今後、コンバージドインフラはPowerEdgeベースになるのか?

大塚: コンバージドインフラの中心はPowerEdgeになるが、シスコとの協業によるVblockやNUTANIXのOEM販売も、引き続き提供していく。組み合わせにこだわるのではなく、お客様に豊富な選択肢を提供していくことは今後も拡張していく。

平手: 今回の統合では、ファミリー企業といっているところに我々の理念がある。VMwareやPivotalが独立性を保ちながら、ファミリーの中にあるというのは、我々が今後もオープンであり続けるという証だ。ハイパーバイザーについても、VMwareだけでなく、Azureなど他のハイパーバイザーもサポートしていく。今回の統合に関しては、製品が重なる部分があるが、事業モデルとテクノロジーに関しては、完全な補完関係にある。いまは、シナジー効果の拡大に全社で注力している。

今後、統合によって新たにチャレンジできる領域は?

平手:クライアントからお使いいただだいた企業に対して、サーバやストレージ製品のクロスセル、アップセルはすでにデル内でも行っているが、統合によって製品の幅ができれば、さまざまな使い方の要望に応えることができ、クロスセル、アップセルが一層加速できる。

大塚: サーバが一緒に売れることは、非常に幅が広がる。また、クライアントソリューションもあり、提案できる裾野が一気に広がる。

記者の質問に答える両社長