日立ソリューションズは10月19日、米AppDynamics(アップダイナミクス)と日本における販売代理店契約を締結し、アプリケーション・パフォーマンス監視製品である「AppDynamics」を10月19日から提供開始すると発表した。価格は個別見積もり。

AppDynamicsの監視画面例

新製品は、単一のビューによる本番環境のアプリケーションに加え、ユーザーの行動からサーバの処理時間までの一連のパフォーマンスをリアルタイムに可視化し、性能低下の予兆検知や障害におけるコードレベルでの原因特定を早期に実現するという。

また、障害のビジネスへの影響もレポートすることで、システムの開発や運用部門のコラボレーション(DevOps)にビジネス部門を加えた連携(BizDevOps)を促進し、復旧時間の大幅な短縮や、ビジネスにおける意思決定を支援。これらにより、企業は高品質なサービスを継続的に提供できるようになり、顧客満足度の向上と収益の拡大を実現するとしている。

新製品の特徴として「稼働環境への負担を軽く、本番環境のアプリケーション全体をリアルタイムに監視」「パフォーマンスの低下を検知する閾(しきい)値を自動設定し、運用管理の負荷を軽減」「パフォーマンスの低下がビジネスへ与える影響を可視化し、BizDevOpsを促進」の3点を挙げている。

リアルタイム監視については、ユーザーへ提供中のサービスに影響を与えず、本番環境のアプリケーションやモバイル・ユーザーのパフォーマンス、異種混合のデータベース、サーバのOSなど、アプリケーション全体を統合してリアルタイムに監視できる。

運用管理の負荷軽減に関しては、定常時のパフォーマンスを計測し、稼働の基準となるしきい値を自動で設定するという。その後も継続的に自己学習を行い、季節や曜日ごと、ピーク時、定常時など、それぞれの状態に応じて閾値をダイナミックに変更するため、アプリケーションが稼働するシステムの特性に最適化された監視を実現。これによりシステム管理者は、チューニングを必要とせず性能低下の予兆検知や障害原因の早期特定が可能となり、運用管理の負荷を大きく軽減できるとしている。

BizDevOpsの促進については、サーバ間のトランザクションをビジネスにひもづけた「ビジネストランザクション」として自動的に可視化する。例えば、ログインや検索、チェックアウトなどのビジネストランザクションごとに稼働状況やボトルネックとなっている部分などを表示するため、パフォーマンスの低下がどのようにビジネスに影響を与えているのかを迅速に把握できるとしている。さらに、売上損失や影響を受けたユーザー数など、統合的な分析レポートも提供するという。

今後、同社はクラウドとオンプレミスが混在する大規模システムや大量のアクセスを伴う消費者向けサービスなどに、新製品を適用する。また、日立製作所の統合システム運用管理を行うソフトウェア「JP1」との連携や、アマゾンウェブサービス(AWS)をはじめとするクラウドサービスの運用支援などを含め、企業のシステム運用の効率向上をトータルに支援していく方針だ。