東芝は10月13日、先進運転者支援システム(ADAS)向け車載画像認識プロセッサ「Visconti 4」を用いた自動運転システムを開発し、9月26日から愛知県内の公道で開始したと発表した。

自動運転では、車載カメラやLIDARの情報から周囲の環境を認識し、適切な軌道を生成するなど、多くの演算を伴う処理が必要となるため、実証実験に用いられている自動運転車両では、ハイエンドPCで処理が行われている。自動運転機能の普及には、ハイエンドPCでの処理を、車載用プロセッサで代替することにより、価格や消費電力を抑えることが重要とされる。

今回は開発したシステムでは、従来ハイエンドPCで行われることが一般的だった自動運転時の認識処理において、計算量の多いカメラ映像から三次元点群を計測する処理を「Visconti 4」で実行。さらに、カメラとLIDARによる車両周辺の地図生成技術、障害物を避けて走行する軌道の自動生成技術を独自開発し、車載用プロセッサで処理可能な計算量で実現している。

東芝は、これらの技術を、PC上で動作する名古屋大学の自動運転ソフトウェアに実装し、公道で自動運転の実証実験を開始。同実証実験では、愛知県の自動走行実証推進事業を受託したアイサンテクノロジーの高精度三次元地図、名古屋大学の加藤真平 客員准教授およびティアフォーの制御システムを使用しているとのこと。同社は、今回の実証実験を通して、自動運転技術を構成する「知覚・認識・判断・操作」のうち、実用的な認識機能と判断機能を2020年までに確立することを目指すとしている。

障害物地図生成と軌道生成