東レは9月28日、分子結合部がスライドする環動ポリマー構造を導入した「しなやかでタフなポリマー材料」を開発したと発表した。

ポリマー材料は、一般的に、硬くすると脆くなり壊れやすくなるが、壊れにくくするために柔らかい材料を配合すると、強度が低下するという課題があり、高剛性と高靭性を兼ね備えた硬くても力を受け流す竹のような材料の開発が望まれていた。

今回、同社は分子結合部がスライドするポリロタキサンの構造をポリマー材料に組み込むことによって、硬さ、強度を保ったまま、伸びを大きく向上させた材料を開発した。

ポリロタキサンはリング状の分子をひも状の分子が貫通した、数珠のような構造を持ったポリマーで、このリング状の分子と、ポリマーの分子をつなぎ合わせることで、分子結合部がひも状の分子に沿ってスライドする環動ポリマー構造を組み込むことができる。

同社によると、このポリロタキサンの分子設計に加え、2種類以上のプラスチックをナノメートル単位で最適に混合する同社の「ナノアロイ」という技術を適用することで同材料の開発が可能になったとしている。

同技術をポリアミドに適用することで、材料の破断伸びは、環動ポリマー構造を組み込まない場合と比較して、約6倍に向上し、さらに繰り返し曲げ試験における屈曲耐久性を、約20倍に大幅に向上させることができたという。さらに、箱状成形品を用いた衝撃試験では、環動ポリマー構造を組み込むことで、破壊されにくくなり、約2倍強のエネルギー吸収性を示すことがわかった。

同社は、同技術を適用したポリマー材料を、自動車用構造部材、衝撃吸収部材など、しなやかさの要求される構造用部材のベースポリマーとして展開し、新規用途の開発を進めていきたい考えだ。

(a)ポリロタキサン分子の模式図。リング状の分子をひも状の分子が貫通した構造(b) ポリロタキサンを架橋した環動ポリマー構造の模式図。引っ張られることで、リング状の分子がひも状の分子に沿って滑るように動く

箱状成形品を用いた衝撃試験の様子。高さ2mからおもりを落下させたところ、ポリアミドは変形せずに破壊されたのに対し、開発材料は変形しながらエネルギーを吸収した