グローバルのITサービスプロバイダやアナリスト、関連のメーカーといった団体が集うテクノロジー・カンファレンス「NetEvents Global Press & Analyst 'IoT & Cloud Innovation' Summit」が日本時間の9月22日、23日に米国カリフォルニア州サラトガで開催された。

同イベントでは、クラウドやIoT、人工知能といったテーマを軸に、各団体のキーマンが登壇した。その中で、最も関心が高かったのがセキュリティメーカーのCYLANCEだ。

CYLANCEは、2012年に設立したばかりの若い企業である。セキュリティ業界といえば、大手企業がシェアを奪い合う既に成熟した業界である。それにも関わらず、同社が注目を集めるのには理由がある。それは、同社がマルウェア対策における検出エンジンに、AI(人工知能)を用いて、未来への脅威に対抗しているからである。

同社のセキュリティ製品「CylancePROTECT」は、前述のように、機械学習を利用したパターンファイルを必要としない方式を採用している。この機械学習エンジンは、機械学習の専門家によって開発された同社オリジナルのもの。このため、従前のパターン定義の更新による既知のマルウェアへの対策だけでなく、パターン定義が確立していない未知のマルウェアへの対策を実現することが出来るという。

本来、人工知能においては、機械学習の得意とする分野として、既知への対策が多く、それはウィルス・マルウェアでいう亜種・新亜種といった分野におけるイニシアチブを有する。しかしながら、同社のセキュリティ対策においては、新種への対策にも有効であるという。これについて、米CYLANCE バイスプレジデント プロダクトマーケティング ブライアン・ゲイル氏は、「たとえば、最近のマルウェアの流行であるランサムウェアは、機械学習によって、その特徴をある程度予測することができる。これによって、その脅威が既知・未知であるかをを問わずに、対策をすることができる」と強調した。

米CYLANCE バイスプレジデント プロダクトマーケティング ブライアン・ゲイル氏

同社は、2016年8月に、グローバルで4番目となる日本法人を設立。現在常駐のスタッフは5名体制で、日立ソリューションズと販売代理店契約、エムオーテックスとはOEM契約を取り交わし、日本市場に力を入れ始めている。これは、「大企業の数や市場規模のところが大きい理由」と、ブライアン氏は語る。実際のところ、多くの企業が既に何らかのセキュリティ対策を行っている日本市場においても、ブライアン氏は「勝てる理由があるから進出した」と意気込む。その理由として、「CylancePROTECTは、マルウェアを防ぐには効率が良いため」と語った。

同社は、今回のイベントにおいても、IoTの分野において、innovation awards 2016を獲得している。受賞について、ブライアン氏は「誇りに思うし、今後もこういった賞をどんどん受賞していきたい」と表情を柔らかくした。今後、日本のセキュリティ業界において、AIがどのように影響を与えるか注目である。