9月13日~15日にかけて、年次イベント「GitHub Universe 2016」を開催したGitHub。同イベントではGitHubの新機能が披露された。今回発表された新機能「プロジェクト機能」や「詳細コードレビュー機能」について、GitHubを開発に使っているLINEの開発者である稲見泰宏氏やGitHubのエンジニアに話を聞いた。

LINEで活躍するGitHub

日本では2012年ごろから企業内開発でGitHubを採用する動きが高まってた。LINEでも同時期にエンジニアからの強い要望を受けてGitHubを導入したという。Gitをベースとした管理Webアプリケーションはほかにも存在するが、公開されているGitHubとほぼ同じUI/UXを利用できるGitHub Enterpriseは特に人気がある。

日本において代表的なコミュニケーションツールであるLINE。今回のパネルディスカッションに、LINEからiOS Developerの稲見泰宏氏が参加した。同氏によると、LINEのiPhoneアプリは20名から30名ほどで開発されており、開発者間で議論する必要がある細かいコミュニケーションにはLINEを使い、きっちりした意見を残す必要がある場合はプルリクエストにコメントをまとめるという。今回GitHubに導入された新機能であるレビューやプロジェクトはこうした開発者に新しい手段を提供することになる。

LINE iOS Developer 稲見泰宏氏

「GitHub Universe 2016」のパネルディスカッションに登壇するLINEの稲見氏

LINEの稲見泰宏氏に今回新しく発表されたGitHubの新機能について尋ねたところ、いち早く使いたいという答えが返ってきた。今回発表された新機能のありがたさは実際にこうしたツールを使って開発を行っているエンジニアにしかその本当の便利さが伝わりにくいところがあるが、使っている方としては喉から手が出るほど欲しい機能だ。

GitHubは開発者間のコミュニケーションという点に高い比重を置いている。1人で開発する場合はどんな方法でもよいが、グループで開発する場合にはグループ間でのコミュニケーションがとても重要になってくる。特に今回導入されたレビュー機能はコミュニケーションに対して新しいチャンネルを開くことになる。

GitHubの目的はすべてを統合することではない

今回GitHubに導入された新機能は、ある程度の技術を持つエンジニアであればどこかで見た機能に感じられるだろう。この機能はあのソフトウェアに、こちらの機能はこのソフトウェアに、といった具合だ。そこで、「GitHubに導入あれた新機能が〇〇の□□によく似ている」といった話をVP of Product EngineeringであるTodd Berman氏に尋ねてみた。「もちろんそのツールは僕も使っているよ」といった答えが返ってきた。

左から、GitHub VP of Product Engineering, Todd Berman氏、GitHub Senior Director of Product Design, Connor Sears氏

GitHubの目的は開発を簡単にすることにある。今回導入されたワークフローに関する機能はそれを実現するものだ。このままいくと、GitHubにはいずれすべての機能が統合されるような気がするが、Berman氏はそうは考えていないという。

GitHubは「ベース」となるものであって、すべての機能がここに入るわけではないという。GitHubは「Integration」を重要なポイントととらえており、必要な機能を必要に応じてサードパーティが開発できるAPIを提供している。また、GitHubをユーザーや開発者向けのものにカスタマイズする機能も提供している。

今回、GitHubのサービスを構築しているAPIの公開を発表したが、これはGitHubの姿勢を示すものだ。必要になる根幹的な機能はGitHubが提供し、それ以外の機能はサードパーティが開発したものを利用できるようにする。これがGitHubがほかのサービスとは違ったユニークな方向性の1つになっている。