Synopsysは9月12日(米国時間)、スマートメーターやNFC決済、eSIMなどの低消費電力が要求される組み込みアプリケーションに向けたセキュリティプロセッサ「DesignWare ARC SEM110/SEM120D」を発表した。

ARC SEMプロセッサは、32ビットARCv2インストラクション・セット・アーキテクチャ(ISA)をベースに、面積と電力効率の最適化が施されたプロセッサファミリで、SEM110、SEM120ともに、インストラクション実行サイクルの均一化や消費電力のランダム化機能によるサイドチャネル攻撃への対抗や、メモリ保護ユニットの強化とSecureShield Runtime LibraryによるTrusted Execution Environment(TEE)構築の容易化が図られている。また、インストラクションとデータの暗号化による耐タンパ性パイプライン、アドレスのスクランブル処理、ならびにデータ整合性チェック機能による外部からの攻撃や知的財産の盗用に対するシステム保護や、不正な設定変更により引き起こされるシステム障害を検知し対策を講じるウォッチドッグ・タイマーを内蔵している。

さらに、SEM120Dでは、より厳重なセキュリティとリアルタイム処理が要求されるアプリケーション向けに、DSPインストラクションとMUL/MACユニットが組み込まれており、医療機器やIoT機器に必要とされるセンサ処理、音声認識といったアプリケーションにも対応することが可能となっている。

なお、ARC SEMプロセッサは従来のARCプロセッサ同様のソフトウェア/ハードウェア開発ツール・エコシステムの活用が可能なほか、ソフトウェア開発者向けにembARC Open Software Platformを通じて、セキュリティ・トランスポート・プロトコルなども含め無償かつオープンソースで提供される包括的なソフトウェア群へのオンライン・アクセスも提供されているほか、バックグラウンドで動作して、セキュアな環境でデータの保管や処理を実行することを目的としたTEE内の領域分割と切り離しを行うSecureShield Runtime Libraryの提供も行われているという。また、同社のハードウェア・プロトタイピング・システム「HAPS」を活用することで、ARC SEMプロセッサ向けソフトウェアの早期開発開始、ハードウェア/ソフトウェア統合、システム検証が可能となるという。

ARC SEMプロセッサの機能ブロック図