アドビ システムズ主催のクリエイター向けイベント「Adobe MAX Japan 2016」が9月2日、開催された。

ビジネス・アーキテクツの荒木脩人氏

これは、米サンディエゴで行われている本家イベント「Adobe MAX」を日本のユーザー向けに開催するもの。イベント当日は多種多様なセミナーが行われたが、本稿では「プロトタイプで舵を取れ!Adobe XDを使った最強のUI/UXデザイン手法」と題して行われたセッションの模様をお届けする。

"ハードルは高くスケジュールは短い"Webの現場

同セッションのスピーカーは、ビジネス・アーキテクツのデザイナーの荒木脩人氏。荒木氏が所属するビジネス・アーキテクツは、ウェブサイトの構築を中心に、コンテンツ開発からデータ解析、調査、分析、最適化まで行うデザイン会社。じぶん銀行や森ビル・六本木ヒルズのウェブサイトやauもモバイルサービスアプリなどが代表的な作品だ。

ビジネス・アーキテクツが手掛けた事例

そんな中、2012年に同社に入社した荒木氏が感じている昨今のウェブ・モバイル業界におけるクライアントの傾向として、ビジネススピードが早く、クライアント側にもデザインの知見があり、「"ハードルは高くスケジュールは短い"。そんな状況が同時多発で起きている」と感じていると話す。

そうした背景には、もちろんスマートフォンの普及や、SNSによる拡散力、競合の増加などが挙げられるが、クライアントの要望に対応していくためには、もはやプロトタイプありきでなければ話にならないとも述べる。

ビジネス・アーキテクツが手掛けた事例

「これまでのプロトタイプをやろうというあり方から、プロトタイプでないと話にならないという状況になっている。ゆえに、とにかくやってみるということが重要」と荒木氏。同氏によると、プロトタイプというのはもはや"コミュニケーションツール"であるという。

「プロトタイプというのは、クライアントを説得するためのものではなく、議論のたたき台。クライアントとの間の共通言語として扱うが、見た目はよくしておくこと。また、クライアントとの間で事前にプロトタイプで進めるという合意を取り、プロトタイプで議論したいことを事前に決めておいて、やらないことを明確にしておくということもスピード化に対応するためには不可欠」と助言する。