『アイドルマスター ミリオンライブ!』などの作品で活躍中の声優・原嶋あかり。ライブイベントでは、その小柄な姿からは想像もつかないほどパワフルな姿を見せてくれる。

原嶋あかり(はらしまあかり)。3月9日生まれ。東京俳優生活協同組合所属。主な出演は『アイドルマスター ミリオンライブ!』中谷育役、『ふたりエッチ』堤るい役、『たまこまーけっと』カエデ役、『ジュエルペット ハッピネス』リン役など
撮影 メインカット:西田航(WATAROCK)、インタビューカット:河邉有実莉(WATAROCK)

原嶋は8月19日、自身がボーカルを務めるユニットchocoNekoβとして初めてのライブイベントを開催する。キャラクターから解き放たれた彼女は一体どんなパフォーマンスを見せてくれるのだろうか。今回は、chocoNekoβや新曲「Blue Border」だけではなく、声優デビュー秘話や、歌とどのように向き合ってきたかについて迫った。

姉と同じクラスに

――原嶋さんが声優という職業を意識した瞬間は?

原嶋 小学校4年生の時ですね。アニメ好きな姉から「面白い仕事があるの。声優って言うんだけどね」って聞いたのが最初のきっかけです。私も「面白そうな仕事だな」と思いました。クラスで劇をやる時、周りのみんなはめんどくさそうにしているけど、私は好きだったんですよ。

――当時から表現することが好きだったんですね。

原嶋 そうです! なので声優は楽しそうだな―って。中学生くらいから友だちに「私は声優になりたい!」と言っていました。

――実際に、声優になるための行動を起こし始めたのはいつからですか?

原嶋 自主練しすぎると変なクセが付いちゃうと聞いたので、あまり演技の練習はやっていませんでした。でも、いろいろ行動はしていて、高校生の時に、ある自主制作のアニメのオーディションを受けたことがあります。

――おおー。その結果は。

原嶋 無事に受かったんですけど、そのアニメの話自体がなくなっちゃって……。あとは、親に反対されていたので、説得を頑張りました。

――実家が北海道ですもんね。まず都内に出ないと。

原嶋 札幌にも声優学校はあったんですけど、「絶対に東京に行く!」と言っていました。でも、母は中学までは「絶対にダメ!」って。

――お母さまのことはどうやって納得させたんですか?

原嶋 高校の学校行事で、作文とはちょっと違うんですけど、自分で書いたものを発表する場がありまして、その東北海道大会みたいなものに参加することが出来ました。もちろん母も大会を見に来てくれて、「一人でいろいろ頑張っているんだな」って思ってくれたんです。担任の先生も私のことを応援してくれていたので、一緒に説得してくださって、高校2年生くらいの時にようやく「いいよ」って。

――行動で示してみせたわけですね。

原嶋 そこからはもう、いろいろな学校のパンフレットを請求しました。何度も東京に出て学校を見学しに行くことはできないので、何回も何回もパンフレットを読んで学校を決めました。

――そしてアミューズメントメディア総合学院に入学。決め手はなんだったんですか?

原嶋 在学中にお仕事をいただけるインターンシップ制度に惹かれました。あとは、直感ですね! 高校3年生の夏休みに、漫画学校を志望している友だちと一緒に東京に出てきて、アミューズメントメディア総合学院のAO入試を受けさせてもらいました。その時にはほぼ決めていましたね。

――入学して印象に残っていることってあります?

原嶋 ……姉が一緒だったんですよ、学校(笑)。

――えっ!?

原嶋 ここでも姉が出てきちゃうんですけど。

――お姉さんとは何歳差ですか?

原嶋 3歳です。

――ということは、お姉さんが先に通っていて?

原嶋 実は入学時期が一緒なんです。

――えーー!!

原嶋 姉も声優を目指していたんですけど、母の説得に失敗したんですよ(笑)。なので、お金を貯めるために札幌近辺で仕事をしていました。私は高校3年生の夏休み、学校を決めてすぐ姉に連絡したんですよ。そして、次の年の1月くらいに姉から「私も学校決まったの―」と電話がかかってきて、どこか聞いたら「アミューズメントメディア総合学院!」、「そこ私がいくとこやーん!」って。ギャグみたいですよね。

――すごい。その展開は予想できなかったなあ。お姉さんとは同じクラスに?

原嶋 そこは姉が午前クラス、私が午後クラスだったので被りませんでした。でも、学校では知らない人にも「妹ちゃん」って呼ばれて。

――姉妹ということは隠さずに?

原嶋 そうですね。入学当初に「姉妹で入った人がいる」と「すげーちっちゃい子がいる」という二つの噂が流れていて、どちらも私かな? って(笑)。

※編集部注:原嶋さんの身長は139cm

――いきなり有名人じゃないですか。

原嶋 なかなかやりづらかったです(笑)。「小さい」、「妹」というだけでぶりっ子だと思われていましたね。でも、「話してみたら印象が違うね」とよく言われていました。

「楽しくやるぞ!」というスイッチが終始入っていた

――なるほどなあ……。先ほどアミューズメントメディア総合学院のインターンシップ制度の話が出ましたけど、その頃の思い出ってありますか?

原嶋 初めて出演したのは『モンスターファームラグーン』というゲームで、いっぱい録り直した記憶があります。あと、収録の日が台風で、現場に行くのが大変でした(笑)。その後、事務所に入ってからアニメ『異国迷路のクロワーゼ The Animation』の侍女役でレギュラー出演させていただきました。

――ありがとうございます。今回、原嶋さんは音楽ユニットchocoNekoβでボーカルを務め、「Blue Border」を発売。そして8月19日には「Blue Border」発売記念イベントも開催されます。chocoNekoβのお話をじっくりお聞きしたいと思っていますが、その前に、原嶋さんの音楽活動というとやはり、『アイドルマスター ミリオンライブ!』の中谷育が印象深いです。特に3rdツアー・仙台公演で見せた元気いっぱいな姿。

原嶋 わ~、自分の中にオンオフのスイッチがあるんですけど、仙台の時は「楽しくやるぞ!」というスイッチが終始入っていましたね。

――初出演のアニバーサリーライブであれだけのパフォーマンス。ものすごい勝負度胸だなと思いました。

原嶋 舞台をやっていたのでステージに立つことは平気だったんですけど、お客さんと目を合わせられないんです。合いそうになるとちょっとそらしちゃう(笑)。でも、「やるっきゃない」という感じでしたね。りえしょん(村川梨衣)がソロのトップバッターで、次が私。そこから渡部優衣ちゃんに繋いでいかないとなので、「私もアゲなきゃ! 落としちゃいけない」って思っていました。あと、仙台は独特の雰囲気があったってよく言われるんですよ。

――メンバーも個性的な方が多いですもんね。

原嶋 りえしょんとか渡部優衣ちゃんとか(笑)。ゆんこん(近藤唯)も不安がっていたのに、本番ではしっかりとちゃんと歌いきっていて、すごいなって思いました。あと、仙台の思い出として、帰りの新幹線の時間があるから、「巻くぞ巻くぞ」って。みんなで「りえしょん止めるぞ」って(笑)。

――そんな裏話が(笑)。当日のMCでは皆さん牛タンとタンシチューの話をされていて、私も帰りに牛タン屋に駆け込みましたよ。次はいよいよ来年3月の日本武道館公演ですね。

原嶋 前回は「初めてだからなー」って言えたけど、次は言えないから緊張しちゃいますね。

ストーリーを追うのが好き

――日本武道館での元気いっぱいな姿、期待しています! 原嶋さんがこれまで歌とどういう風に歩んできたのかもお聞きしたいです。

原嶋 中学生の頃は合唱部に入っていたので、お芝居もそうなんですけど、やっぱり表現するというのが好きなんですよね。音楽は昔から好きだったんですけど、あまり流行りには乗らなかったタイプです。学校でみんなが聴いている曲よりも、親が車で流しているポルノグラフィティさんとかが好きでしたね。あとはアニソンとか。

――アニソンだとどういったところを?

原嶋 うーん、『美少女戦士セーラームーン』とか、『るろうに剣心』。あとは『ドラゴンボール』。兄と姉がいるので、影響を受けていますね。でも、地元が北海道だから映らないアニメも結構多くて、『ポケットモンスター』とかは観れなくて……、田舎は不便です。

――今だとどんな曲を聴いていますか?

原嶋 よく意外と言われるんですけど、バラードが好きなんですよ。特に藤田麻衣子さんが大好きで、よく聴いています。あ、『アイマス』だと「arcadia」や「隣に…」が好きですね。

――たしかに意外かも。

原嶋 私、あんまり自分の趣味とか言わないんですよ。「えー!」とか言われたらいやだから(笑)。

――そんなことないですよ。この機会にぜひ!

原嶋 役で演じたり歌ったりではいいんですけど、自分自身を出すのはなかなか苦手で……。

――なるほど……。では、いまお好きなものは?

原嶋 うぅ~、趣味がバレちゃうー。……いまは『アイドリッシュセブン』が好きです。特に九条天くんが……すごく好きです。恥ずかしいこれ(笑)。次は「MEZZO"」の四葉環くんと逢坂壮五くん。この二人はバラードを歌うので。好きな曲だとTRIGGERの「SECRET NIGHT」です。

――結構ハマるタイプですね。

原嶋 ほかは『遙かなる時空の中で』シリーズが大好きでした。一番は「3」! 特に高橋直純さんの歌が好きで、そこからよく男性曲を歌うようになりましたね。あとは友だちが『うたの☆プリンスさまっ♪』にハマッていたのでよく一緒にアニメを観ていました。『うたプリ』だと来栖翔くんが好きですね。

――割と好きになるタイプが納得できるというか。

原嶋 系統バレちゃうなー。猫系とか犬系が好きなんですよ。

――ゲーム、アニメときて、漫画はいかがですか?

原嶋 大好きです。ゲームより漫画を読んでいる時間の方が長いかも。自分を投影するよりは、主人公やキャラクターを応援するタイプですね。歌もそうなんですけど、ストーリーを追うのが好きなんです。一番最初にハマったのは『カードキャプターさくら』で、次が『フルーツバスケット』。いまは『暁のヨナ』という作品がお気に入りです。少年漫画だと『ベイビーステップ』ですね。