「格安SIM」などで知られるMVNOのサービスは、データ通信は安いが音声通話は高いというのが一般的だ。しかしながら今年に入って以降、さまざまな形で通話し放題を実現するMVNOが急増している。音声通話サービスにさまざまな制約がある中、MVNOはどのようにして通話定額を実現しているのか。そして今、通話定額を提供する理由はどこにあるのだろうか。

今年に入り急増するMVNOの通話定額サービス

大手キャリアが通話し放題サービスを提供するようになって久しいが、今年に入ってから「格安SIM」「格安スマホ」などで知られるMVNOのサービスの中にも、通話し放題のサービスを提供する所が急速に増えている。

その先鞭をつけたのが、楽天の「楽天モバイル」である。楽天モバイルは今年1月、月額850円追加することで、5分間の通話が何回でもし放題となる「5分かけ放題」の提供を発表したことが評判となり、それ以降いくつかのMVNOが、次々と通話し放題サービスの提供を打ち出している。

楽天モバイルが「5分間かけ放題」の提供を開始して以降、通話定額サービスを提供するMVNOは急増している

実際、3月には「FREETEL」ブランドでスマートフォンや通信サービスを提供するプラスワン・マーケティングが、1分または5分間の通話がし放題となる「FREETELでんわ」の提供を開始。現在は自社回線のユーザーのみだが、今夏には他社回線のユーザーにもFREETELでんわのサービスを提供するとしている。

また5月には、フリービット傘下のドリーム・トレイン・インターネット(DTI)が、DTI SIMのユーザー向けに5分間の通話がし放題になる「DTI SIM でんわかけ放題」の提供を開始。7月にはインターネットイニシアティブ(IIJ)やNTTコミュニケーションズといったMVNO大手が、相次いで5分間の通話定額サービスの提供を開始している。