名古屋大学(名大)は8月5日、機械的強度や安定性などに優れた強固な共有結合でつながる有機ナノチューブの簡便な合成手法の開発に成功したと発表した。

同成果は、名古屋大学大学院理学研究科/名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所 伊丹健一郎教授、伊藤英人講師、大学院生の前田果歩氏らの研究グループによるもので、8月3日付けの米国科学誌「Journal of American Chemical Society」オンライン版に掲載された。

有機ナノチューブは、有機分子を基本骨格として筒状に組み合わせることで作られる新しいタイプの有機ナノ材料で、基本骨格の設計次第で半導体特性や導電性、分子認識、分子取り込み能といった機能を付与できるため、機能性材料としての応用が期待されている。

特にカーボンナノチューブのようにチューブ全体が強固な共有結合でつながっている「共有結合性有機ナノチューブ」は、機械的強度や安定性の増加、光学物性や導電性などの向上が期待できるが、これまで共有結合性有機ナノチューブの明確な合成手法は存在していなかった。

今回、同研究グループは、アセチレン骨格を含みかつ自発的にらせんを形成できるらせん高分子を設計・合成。らせん高分子に光を照射して一挙に架橋共有結合を構築し、共有結合性有機ナノチューブを作製する「helix-to-tube法」を開発することに成功した。

同手法を用いることにより、さまざまな骨格・機能をもつ有機ナノチューブ群を簡便に作製することが可能なため、同研究グループは、分子認識材料や導電性材料などへの応用が期待できるとしている。

共有結合性有機ナノチューブの新合成手法「helix-to-tube法」の概要。有機分子の重合によって高分子を合成するとともに自発的ならせん形成を行い、光架橋反応によってらせん高分子鎖間を共有結合で架橋する