新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は8月1日、タイ王国科学技術省国家イノベーション庁(NIA)と共同で、バガスと呼ばれるサトウキビ搾汁後の搾りかすからバイオエタノールや高付加価値品の原材料となる有用物質の製造システム実証事業を開始することに合意し、基本協定書(MOU)を締結したと発表した。委託先は東レ、三井製糖、三井物産を予定。

バガスは食用に出来ない農業廃棄物であり、トウモロコシなどの穀物を原料とするバイオエタノールとは異なり、食糧用途と燃料用途の競合が起きない。

同事業では、サトウキビ製糖工場内で排出される余剰バガスを原材料に、1400トン/年のセルロース糖製造能力(バイオエタノール換算700kL/年)を持つ準商用規模のパイロットプラントにおいて、日本の高分子膜を利用することによって、従来の糖液の蒸発濃縮法から省エネルギー効果50%向上を目指し、2022年9月までに実証試験によるデータの評価・検証を行う予定。

事業終了後は、バガスを排出する事業者に対して事業成果を活用した有用物質の製造工場の建設・稼動を指導し、まずは商用規模プラント1号機竣工を目指すとしている。

バガスから有用物質(セルロース糖やオリゴ糖、ポリフェノール)を製造する工程フロー