いざ出力!

さて、今回出力した「XYZキーチェーン」がこちら。推奨は0.3mmピッチだったが、比較のため、0.1mm、0.2mm、0.4mmピッチも出力した。

0.1mmピッチ

0.2mmピッチ

0.3mmピッチ

0.4mmピッチ

それぞれ出力に要した時間は0.1mmピッチが約120分、0.2mmピッチが約53分、0.3mmピッチが約40分、0.4mmピッチが約33分だった。今回のモデルでは曲線が少ないこともあってか、0.1mmと0.4mmでも出力品質に大きな差はなかった。

また、「iPhone 6用ケース」も0.2mmピッチで出力してみた(データはXYZのギャラリーからダウンロード)。要した時間は約113分だった。このような複雑なモデルを一発で出力できるのは3Dプリンタの醍醐味だといえる。

出力した「iPhone 6用ケース」。若干サイズが大きかったが、パッキンでカバー

出力中の匂いについては、付属の保護カバーを用いていたこともあって全く気にならなかった。一方、音については意見が分かれるところ。今回はオフィス環境で設置したこともあって、他の雑音にまぎれていたが、「自宅でテレビを見ながら」だったらうるさいと感じたかもしれない。筆者は想像よりも音が小さいと思ったが、同僚からは「結構音がするね」とのコメントもあった。

「XYZキーチェーン」を出力しているところ

何よりも「使いやすい」 - 教育現場との相性も良さそう

「ダヴィンチ mini w」の総合的な感想だが、「使いやすい」の1点に尽きる。すでに触れたが、組み立てが楽、ソフトウェアのユーザーインターフェースがわかりやすいという点に加えて、サイト上でデータと推奨設定を提供しているため3D CADが扱えなくても「何か3Dプリントしてみたいな」という前向きな気持ちになる。

Wi-Fi機能についてはどちらかというとヘビーユーザー向けだと感じた。筆者が外出先から3Dプリントするような必要に迫られることがないためだが、例えば自分がデザイナーで3D CADのスキルがあれば、「打ち合わせで検討したデザインを外で出力し始めておいて、オフィスに戻る頃にはモデルが出来上がっている」なんてことも可能だ。大変効率的だが、3D プリント初心者がこうした使い方をするとは考えづらい。また、1台の3Dプリンタを複数人で使用するときにも便利だが、今回の場合プリンタを使っていたのは筆者1人だったのでWi-Fi機能の威力を実感する場面には出会わなかった。

ちなみに、Wi-Fiで接続するとこのような画面になる

「ダヴィンチ miniシリーズ」は家庭向け3Dプリンタという位置づけだが、最も威力を発揮するのは小学校~高校ではないかと考えている。価格と使いやすさで導入ハードルが低く、サイズがコンパクトなため設置場所に苦労しないのも良い。また、今回使わせていただいた「ダヴィンチ mini w」であればWi-Fi機能により、教室でモデリングをして、別の部屋(準備室など)で出力することも可能となる。フィラメントにとうもろこしのでんぷんを原料としたPLA樹脂を採用し、有害物質の有無を気にしなくて良いこともメリットだ。XYZプリンティングは初心者向け3Dモデリングソフト「XYZmaker」の無償提供も行っており、「XYZmaker」と「ダヴィンチ miniシリーズ」のセットは近年重要視されているSTEM教育の教材に十分なり得るのではないだろうか。