九州大学(九大)は7月25日、現在、日本では本州と九州の一部地域のみで見られるる希少な蝶で、大分県内では約40年ぶりに発見された「オオルリシジミ」のDNA解析などを行った結果、本州や韓国由来ではないことを確認したと発表した。

同成果は、同大大学院比較社会文化研究院の阿部芳久教授、伊藤勇人氏らによるもの。詳細は、日本の国際学術雑誌「Entomological Science」(オンライン版)に掲載された。

今回、研究グループでは、大分県産のオオルリシジミがどこから来たのかを解明することを目指し、大分県の竹田市ならびに由布市、熊本県、長野県、新潟県、そして韓国の各個体群のミトコンドリアのDNA塩基配列の一部比較を実施したという。その結果、大分県内の2つの市で発見された個体のいずれもが、本州や韓国由来ではないことが判明したほか、竹田市で発見された個体群は熊本県産の個体群の一部とDNA塩基配列が同じであったことが確認されたものの、飛来してきたものか、人為的に放蝶されたものかは分からなかったという。また、由布市の個体群については、土着の可能性もあるものの、熊本県の個体群の放蝶に由来する可能性も否定できないともしている。

なお、研究グループでは、この約40年ぶりに見つかったオオルリシジミについて、九州由来のものだとわかったことから、熊本県や東海大学の取組を参考にしながら保全対策を進めていきたいとコメントしている。

2015年5月8日に大分県由布市内で阿部教授が撮影したオオルリシジミの雌成虫 (出所:九州大学 Webサイト)