ニッポン放送、Cerevo、グッドスマイルカンパニーの3社は7月20日、ワイドFM対応ラジオ「Hint」を開発したと発表した。

「Hint」は自他共に認める"ヘビーガジェッター"であるニッポン放送の吉田尚記アナウンサーが立ち上げたプロジェクトで、Cerevoがハードウェアの仕様設計や試作機の開発、グッドスマイルカンパニーがデザイン面で協力した。同日から9月20までクラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」にて資金調達を実施する。目標調達額は1300万円で、2万1500円~30万円までのコースが用意されている。クラウドファンディングが成功した場合、2017年3月までに出荷を開始する予定で、およそ500台の生産を計画している。

ニッポン放送の吉田アナウンサーが「かっこいいラジオがほしい」と思ったことで実現した「Hint」。高性能DSPチップ「SILICON LABS Si4735」を搭載している。

都内で行われた会見にて。(左から)ニッポン放送の吉田アナウンサー、デザインを手がけたSF inc.のメチクロ代表、Cerevoの岩佐琢磨 代表取締役、グッドスマイルカンパニーの安藝貴範 代表取締役社長

現在のところ明かされている基本仕様としては、本体サイズが80×80×287mmで、重量が950g。ACアダプタまたはリチウムイオン電池で動作し、ラジオを連続で聞いた場合、4~6時間稼働する。

製品名の「Hint」という単語には、発見や気づきといった意味のほかに、「気配」という意味がある。「気配」は製品開発におけるキーワードの1つで、無指向性スピーカーの採用により、「Hint」に対してどの位置にいてもクリアに音を聞き取ることが可能。また、人の声がよく聞こえるようなチューニングとなっている。

また、AM放送局の放送エリアにおいて難聴対策や災害対策のために従来のFM放送用周波数(76MHz~90MHz)に加えて、新たに割り当てられた周波数(90.1MHz~95MHz)を用いてAM番組を放送するワイドFM(FM補完放送)に対応。ダイヤルを93.0に合わせれば、クリアなFM音声でニッポン放送を受信できる。

さらに特徴的なのが、DTMF音(電話のダイヤル音)を変換して、BLEビーコンとしてURLをスマートフォンへ配信できる機能。これにより、例えばラジオショッピングでDTMF音を流し、リスナーのスマートフォンへ通販サイトのURLを配信することなどが可能となる。

また、搭載しているLEDライトもBLEビーコンによって制御することができ、「(プロ野球中継で)ジャイアンツが勝っていたらオレンジ、ヤクルトが勝っていたら緑色にLEDの色を変えることもできる」(吉田アナウンサー)など幅広い用途での活用が期待される。現時点ではニッポン放送からのデータ情報は発信されていないが、将来的に同機能を活用した放送展開を検討しているとのこと。

BLEビーコンを用いた機能の概要。全国ネットのCMを聞いたリスナーに向けて地域ごとのクーポンを配布したりすることもできる。

このほか、Bluetoothスピーカーとしても使用することができ、スマートフォンやPCに入っている音楽や、Podcast、ストリーミングサービスを楽しむことが可能だ。