犬や猫とじゃれるときは注意しよう

日本に愛犬家は多いが、あなたや家族・知人がそうだった場合は気をつけてほしい。イギリスで、ある女性が犬から"キス"されたために重篤な感染症に罹患(りかん)したということが判明したからだ。

海外のさまざまなニュースを紹介する「livescience」にこのほど、「愛犬のキスと飼い主が重篤な感染症に罹患することの関連性」に関するコラムが掲載された。同コラムによると、イギリスで70歳の女性が飼い犬とじゃれあっているうちに、生命を脅かすような感染症に罹患してしまったという。

女性は電話をかけているときにろれつが回らなくなり、いすにもたれかかった状態で発見され、病院に搬送された。病院で意識を取り戻し、症状は改善したかのようにみえた。その女性にはてんかんの発作歴があったため、医師らはその発作に見舞われたと考えていたという。だが、入院後4日目に同女性の症状が悪化。頭痛、高熱、悪寒、下痢の症状を示し、腎不全の症状が突然現れたため集中治療室(ICU)に移った。

血液検査の結果、その女性は犬や猫の口につくカプノサイトファーガ・カニモルサスと呼ばれる細菌類に感染していた事実が判明した。厚生労働省は、カプノサイトファーガ・カニモルサスに感染すると発熱や倦怠感、腹痛、吐き気、頭痛などの症状が出るとしている。

この細菌は犬や猫にかまれたり引っかかれたりしたときだけではなく、「なめられる」だけで感染したケースもある。この女性は自分のペットの犬が大好きで、よくなめられていたとのこと。この種の感染症に高齢者は高いリスクがあると言われている。その原因として、「年齢を重ねると免疫機能障害が増える」「高齢者はペット所有率が高いこと」などがあるとされている。

また、カプノサイトファーガ・カニモルサス感染者が敗血症を発症することはまれだが、いったん発症するとその約4分の1は死亡している。この女性は抗生物質を投与され、1カ月の入院で回復し、自宅に戻ることができた。

カプノサイトファーガ・カニモルサス感染症に関しては、過去にカリフォルニア州公衆衛生局の研究者が56例を基に報告をしている。その報告によると、ひ臓を切除しているか、アルコール依存症であれば、カプノサイトファーガ・カニモルサス感染症を発症するリスクが高まると結論づけられている。

なお、厚生労働省はカプノサイトファーガ・カニモルサス感染症は、「動物による咬傷事故等の発生数に対し、報告されている患者数は非常に少ないことから、本病は極めて稀にしか発症しない」ものであり、ヒトからヒトへの感染の報告もないと説明している。

※写真と本文は関係ありません

記事監修: 杉田米行(すぎたよねゆき)

米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。現在は大阪大学大学院言語文化研究科教授として教鞭を執る。専門分野は国際関係と日米医療保険制度。