ポッドキャストの人気番組にも収益化の道

ネット配信は地上波に次ぐ文化放送の新たな収益源となるのだろうか。この質問に片寄氏は「もうなっている」と即答した。A&G関連のコンテンツは、同社売上高の少なくとも1~2割を稼ぎ出す優良事業であり、超!A&G+はA&Gとリスナーをつなぐ窓口として重要な役割を果たしている。広告によるマネタイズが成功し、超!A&G+自体の収益力が高まれば、A&G関連事業が文化放送全体の売上高をさらに押し上げることは確実だ。

超!A&G+は番組表に沿って放送しているが、文化放送は番組を好きな時に聴ける従量課金のオンデマンドサービス「AG-ON」も用意している(画像はAG-ONトップページの一部)

「大竹まこと ゴールデンラジオ」など、多くの人気番組をポッドキャストで配信している文化放送だが、同社の場合はポッドキャストもネット配信ビジネスの一部として考える必要がある。ポッドキャストは有料コンテンツ化や広告挿入による収益化が難しい分野だが、ネット配信全体で利益が上がっている状況からすると、「(ポッドキャストはコストの掛かるサービスだが)金銭的にも労力的にもそこまで負担ではない」(片寄氏)というのが実情のようだ。

片寄氏はポッドキャストの人気コンテンツも含め、音声配信コンテンツをいかにマネタイズしていくかを考えるほうが前向きだとの認識を示した。将来的にポッドキャスト配信から撤退することがあったとしても、すでに多くのファンを獲得している人気コンテンツについては、同社の配信ビジネスに組み込む方法を探したいというのが同氏の考えのようだ。A&G関連に加えて、地上波で放送しているワイド番組などのコンテンツも配信ビジネスに紐付かせることができれば、同社のネットラジオはA&G関連の番組に興味がないリスナーにも訴求可能なチャンネルとなる。

時代はラジオ2.0、文化放送は先行できるか

ネットラジオは海外で人気に火が付き、このムーブメントに日本は乗り遅れているものとばかり思っていたが、文化放送がネットラジオに取り組み始めたのは約20年前だと聞いて驚いた。当時は日本でネットが普及し始めた頃だが、文化放送は固定電話回線の使用料が定額制となる深夜の時間帯を利用し、生放送でネットラジオを配信していたのだ。

片寄氏は地上波放送を「ラジオ1.0」と位置づけた上で、ネットラジオが普及する可能性が出てきた現状を「ラジオ2.0に入ってきている」と表現した。TBSラジオクラウドが始まったり、音声広告のターゲティング配信技術が確立したりと、日本ではネットラジオが黎明期を迎えつつあるような情勢だが、これは見方を変えると、ネットラジオの老舗ともいうべき文化放送に時代が追いついてきたと考えることもできる。A&G関連事業へのいち早い取り組みで先見の明を示した同社が、ネットラジオでも他社に先行することができるか。ネットと相性抜群のコンテンツを豊富に抱える文化放送の実力が試される。