胃に通すチューブは医師によって取り付けてもらう

気温が上昇するにつれ、薄着になる機会も増えてきた。今の時期、特に女性は、露出が目立つ二の腕太ももなどを細く見せようと、ダイエットに躍起になっているのではないだろうか。

そんな人たちに朗報とも呼べる? 一風変わったダイエットが海の向こうから報告された。その方法とは、ちょっとしたSF映画を連想させそうな機械を使い、体がカロリーとして吸収する前に、腹部の内容物を吸引・排出するという驚きのものだ。

胃につなげたチューブを用いてカロリーカット

海外のさまざまなニュースを紹介する「livescience」にこのほど、「腹部内吸引術を行う新型ダイエット装置の使い方」にまつわるコラムが掲載された。

同コラム内で紹介されている「ダイエット装置」とは、米国食品医薬品局(FDA)がこのほど使用を承認した、ダイエットを支援する「アスパイヤーアシスト」と呼ばれるもの。腹部内に小さなチューブを入れ、身体がカロリーを摂取する前に、腸の中にある物の一部を排出することで体重を落とす仕組みだという。

その"効果"のほども実証済みだ。171名の参加者(内111名でこの装置を試し、残り60名は対照群として装置を取り付けなかった)を1年間にわたり追跡調査したところ、装置を試した参加者は平均31ポンド(1ポンドは約0.45kg)の減量に成功したとのこと。ユニークな方法に思えるかもしれないが、考え方自体は決して新しいものではなく、すでに多くの医師がよく知っている標準的なものだ。

実際にこのダイエット行う際は、胃腸科分野の医師が内視鏡を使ってチューブを口から入れ、胃に小さな切り口を入れてチューブを通す。その後、おなかの部分に弁を取り付け、弁とチューブをつなげる。さらにスマートフォンほどの大きさの装置をその弁に取り付け、腹部から食べた物をトイレなどで排出することになるという。

排出した後は、次の内容物を排出する前に、その装置に付属している水で満たされた貯蔵器をぎゅっと握って水を押し出すことで腹部を洗浄する。このようにしてアスパイヤーアシストを使えば、腹部にある内容物の約30%を排出することが可能とのこと。

食習慣の変化もダイエットをサポート

この装置をうまく機能させるためのポイントも、ダイエットを"後押し"している。

腹部に入れるチューブは非常に細いもので、そのチューブの中を通すために、食べ物をよく咀嚼(そしゃく)しなければならない。普段よりもゆっくりしたペースで咀嚼回数が増えれば、満腹中枢も刺激されて食べ過ぎる前に満腹を感じやすくなる。

また、食べ物を装置から流出させるためには腹部に空間が必要となる。そのスペースがなくなるほど大食するとアスパイヤーアシストが機能しなくなってしまうため、「食べすぎ」の量がどれぐらいか自ずとわかるようになり、そこに達する前に食事量をセーブするようにもなる。

食べていい物に関しても気になるところだろうが、基本は何でもOK。ただし、脂質の多いものなどは、チューブから排出されてきた際の見た目がとても悪い。そのグロテスクなビジュアルを見れば、より「健康的な物を食べよう」という思考も働きやすくなるため、悪い食習慣を断ち切る上ではこの点も有効と言えよう。

アスパイヤーアシストが有効なのか否か、より多くの実証が必要だという専門家もいる。同装置の長期的な効能に関しても不明だし、このような装置を取り付けることによる心理的影響が、実際の減量に大きく関わっていたのかもしれない。

それでも、ハーバード大学メディカル・スクールのピーター・コーエン講師は、きっちりとした成果が現れて安全性にも問題がなければ、減量に向けてこのようなタイプのアプローチを試すことに反対はしないとの考えを示している。

※写真と本文は関係ありません

記事監修: 杉田米行(すぎたよねゆき)

米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。現在は大阪大学大学院言語文化研究科教授として教鞭を執る。専門分野は国際関係と日米医療保険制度。