文部科学省は28日付で、遺伝子組み換えをした微生物が含まれた実験用の廃液を適切に処分しなかったとして、熊本大学と奈良県立医科大学の2大学に対して文書による厳重注意をした。

文部科学省によると、2大学は、遺伝子組み換え生物が外部環境に拡散することを禁じた法律(「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」)に違反した。熊本大学は今年2月26日、同大学大学院生命科学研究部の実験室内に保管されていた遺伝子組み換えウイルスを含む廃液を、その組み換え実験をしていなかった実験者が自分の実験の廃液と誤認して下水に流して捨てた。奈良県立医科大学では、同大学の職員が今年3月までの約3年間にわたり、遺伝子組み換えをした大腸菌を含む廃液を、不活化処理せずに下水に流して捨てた。

同省への報告によると、2大学の違反事例とも原因は実験廃液のずさんな管理だったが、外部環境への影響はなかった。熊本大学は、遺伝子組み換え微生物の管理を徹底し、適切な処理をするよう教育訓練を必修にする。奈良県立医科大学は、外部委員による監査制度を導入、熊本大学同様に教育訓練を徹底するなどの再発防止策を実施する。

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