真夏竜演じるエキセントリックな西郷博士の娘・美和を演じた河西美希は、今回の映画が演技初挑戦。役について尋ねられ、「美和は勝ち気でしっかりしている女の子。でも普段の私はけっこう抜けているので(笑)、美和を演じられるように頑張りました。どうでしたか?」と飯伏に目を向けると、飯伏は「……よかったですよ!」と笑顔をたたえながらOKを出していた。「撮影時のエピソードは?」との問いに対しては、「大変だったというよりも、飯伏さんが大変そうだなあって思いました。山奥に行くシーンは朝早くて、とても楽しかったですけれど寒かった~!」と、寒い時期の撮影に備えて携帯用カイロを常備していたことを明かした。

プロレスラーとしても活躍する赤井沙希は謎の女スパイ・リサを演じ、妖艶な魅力をふりまきつつスピーディなアクションシーンをこなした。赤井は「アクションは初めてだったのですが、プロレスで殴る、蹴るをやっていたことで、その経験が生きたかなと思っています」と、アクションに自信のほどをうかがわせた。プロレスの試合でも絡んだことのある飯伏とは本作でラブシーンを披露しているが、これについては「(飯伏選手とは)路上プロレスで攻撃されたことはありますが、まさかラブシーンがあるとは……。しかし照れたら負けですので、撮影に入るときは試合に行くみたいに気合をバンと入れて臨みました」と、さすがに肝の据わったところを見せていた。

小松左京・原作による大ヒット映画の現代版リメイク作『日本沈没』が公開されたのに合わせて、作家・筒井康隆氏原作のブラックジョーク満載の『日本以外全部沈没』を初映画化して話題を集めた河崎実監督は、「今度は『シン・ゴジラ』の便乗です」と、本作が同じく7月に公開される怪獣映画の超大作『シン・ゴジラ』を見据えた作品だと説明した。

本作の企画については「昔『フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)』という映画があったけれど、ここでの巨人VS怪獣という図式が後の『ウルトラマン』に発展していった。プロレスラーが怪獣と生死をかけたガチンコの戦いをするという、怪獣プロレスの決定版を狙った」と、1965年公開の東宝映画『フランケンシュタイン対地底怪獣』における、不死身の怪人フランケンシュタインと凶暴な地底怪獣バラゴンとの決闘シーンにオマージュをささげた映画だということを強調。

現役プロレスラーである飯伏選手の起用について監督は、「飯伏選手は戦いのところもいいんですが、戦い以外の演技のところ、これが面白いんですよ! これぞ棒読み!という感じでね(笑)。バッチリです」と、格闘のプロでも演技が素人というギャップ部分の面白さを高く評価した。

映画の中には、昨年ごろから世間をにぎわせた万能細胞をめぐる騒動をはじめ、今年で誕生50周年を迎える国民的特撮ヒーローシリーズのパロディなどがふんだんにちりばめられているのも大きな特徴。河崎監督は「怪獣とプロレスラーが戦うというアイデアから、時事ネタをいろいろ盛り込んで作った映画です。真面目にバカをやるというのが僕のスタイルですので、そこを観てほしい!」と、映画を猛烈にアピールした。

舞台あいさつ終了後、突如後方から「大怪獣モノ」が猛然とスクリーン前に襲来。「葛飾北斎の描く鳳凰」をモチーフに、漫画家・森野達弥がデザインを手がけたモノは、リアリティーと派手さを両立した怪獣となった。今回の舞台あいさつでもモノのスーツを着ている谷口洋行は、映画の中で飯伏選手から実際にパワーボムをはじめとするプロレス技をモロに食らいながらも、人間ではない「怪獣」独特の動きを取り入れた確かな演技力と優れた身体能力でモノに生命をふきこんでいる。

映画『大怪獣モノ』は7月16日よりヒューマントラスト渋谷、シネ・リーブル梅田ほかでロードショー公開。

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