具体的なストレス対策は意外と簡単

ストレス対策の一つとして、音楽を聴くなど気晴らしになることのリストアップがある

では、このようなストレスフルな日常から抜け出すための対策としては何があるのだろうか。同番組では、JAXAにて宇宙飛行士のストレス対策を研究している宇宙航空医師・緒方克彦氏が推奨する「コーピング(ストレス対処)」を紹介していた。

その方法は至って簡単で、「ストレスがかかったときに気晴らしになること」をあらかじめリストアップするだけ。「音楽を聴く」「読書をする」などのささいなことでもOKで、「質よりも量」が重要となってくるため100個あってもいいぐらいだという。

そしてストレスがかかる度にリストアップしたことを実行し、ストレスが軽減したかを自分でジャッジ。まだ感じているならば、その気晴らしを続けたり、別の気晴らしをしたりする。自らストレスの観察・対策を意識的かつ徹底的に繰り返すことがコーピングとのこと。

実際、何人もの宇宙飛行士が宇宙船内でギターやサッカーに興じ、おのおのでストレス対策に取り組んでいた。2011年にソユーズに搭乗し、国際宇宙ステーションで長期ミッションに取り組んでいた古川聡さんも、無重力の宇宙空間を利用した「一人野球」をして楽しんでいたと番組内で話した。

また、こういった具体的な行動を実施するほか、「宝くじが当たった」といった実現可能性が低いことを妄想するだけでもストレス対策には有効。これは「認知するコーピング」と呼ばれる。重要なのは、絶え間なく襲ってくるストレスに対処するため、たくさんの気晴らし対策を持つこと。すなわち、自分のストレス軽減のための"引き出し"を増やすことなのだ。

アメリカ心理学会が注目する「マインドフルネス」

さらにもう一つ、アメリカ心理学会で注目され、海外の企業でも取り入れられている「マインドフルネス」という概念も紹介された。

マサチューセッツ大学の研究チームが開発したプログラム「マインドフルネス・ストレス低減法」は、瞑想(めいそう)の医学的効果を研究する過程で生まれた。瞑想から宗教性を排除したもので、心を落ち着かせるのに有効だという。

やり方は以下の通りで、最初は毎日10分程度から始めるのがよいとのこと。ただし、うつ病などを治療中の人は医師と相談したうえで行うのがよい。

(1)体の力を抜き、背筋を伸ばして座り、目を閉じる

(2)体と呼吸に意識を向け、その様子を感じる

(3)目を閉じている間は浮かんできた雑念を感じないようにし、「今の瞬間」の体の呼吸や感覚に意識を集中させる

(4)一定の時間が経過したらゆっくりと目を開く

同プログラムを8週間継続したところ、体の不調は約35パーセント、心の不調は約40パーセント軽減されたという研究報告もある。その理由として「今この瞬間」に注意を向けることで、マインド・ワンダリングを断ち切れるからとされている。

ストレスコントロールに着手するように意識改革を

コーピングとマインドフルネスで、ストレスコントロールの重要性を説いた同番組。放映後は、インターネット上に「自分で日頃からストレスをコントロールすることも大事」とのコメントをはじめ、「瞑想(マインドフルネス)のメカニズムを科学的に検証しててわかりやすかった」「コーピングとマインドフルネス、早速実践してみよう」などの好意的な意見が目立った。

一方で、「コーピングもマインドフルネスも、それができる時間や環境がなければ何の意味もないので、とりあえず定時で帰れる社会になればいいよ」といった、ストレスの温床になりうる日本企業の長時間労働体制に改善を求める声もあった。

今回紹介された2つのストレス対策法のメリットの一つに、「誰でも簡単にできる」という点があげられる。コーピングはあらかじめ気晴らし対策を複数用意しておけば有事の際に役立つし、マインドフルネスもわずかの時間で「心のリセット」を図れる。多忙な人でも、帰宅後のスマートフォンいじりやテレビ鑑賞を我慢すれば、10分程度の時間は作り出せるだろう。

慣れないうちは面倒に感じる人もいるかもしれない。だが、つまるところ、ストレスを「キラーストレス」にさせないために大切なのは、これらのちょっとした対策を苦としないように意識を"改革"させることなのではないだろうか。

※写真と本文は関係ありません