後半のパネルディスカッションでは、女性パネリストが「医師」「脱毛サロンスタッフ」「女性誌ライター」というそれぞれの職業の視点から摂食障害について意見を述べあった。

美容脱毛専用サロン・ミュゼプラチナムの鎌田真理子営業部長は、サロンの利用者の中に摂食障害とおぼしき女性がいて、スタッフが不安を抱くケースがあると話す。

「ただ、非常にデリケートな問題ですので、お客さまにストレートに伺い、即介入することは難しいですし、触れてほしくない方もいらっしゃいます。でも、私どもはお客さまの裸に近い状態を拝見し、しかも『毛』というホルモンの影響が強く、摂食障害の症状が出る部分のケアに携わっているので、早期発見・早期介入の手助けになりうる立場だと思っています」。

今後はスタッフがもっと摂食障害に関する知識を身につけ、正しいアドバイスの方法なども学び、脱毛(美容)面だけでなく、利用者の健康面もサポートしていきたいとした。

医療、美容、メディアの立場から摂食障害について意見を述べあう

雑誌と実物の「1割強の差」が物語るやせ志向

ライター・三浦さんは、ファッション業界について言及。米国を本拠地とする世界的ファッション誌「Vogue」が2012年、ファッション業界の「やせ=美しい」という偏った美意識が摂食障害に陥るモデルの増加などにつながっているとの考えから、「やせすぎのモデルは使わない」方針を発表したことは国内でも大々的に報道された。

その一方で、日本のファッション業界はまだまだ「やせ志向」が根強く、掲載されている女性芸能人の写真のほとんどは、デジタル加工によってより細く修正されている現状を三浦さんは危惧している。

「女性誌の編集部は、タレントさんの所属事務所に掲載予定写真をチェックしてもらうのですが、ほとんどの場合、事務所側から『もっとウエストラインを細くしてほしい』とか『おなかを平らにしてほしい』とかあれこれ注文が入ります。編集部もノーとは言えない立場なので、よほど極端な修正でない限り、指示通り修正せざるをえないのが現状です」。

雑誌やポスターなどでみかけるタレントの写真と実際の体型は「1割強」ほどの違いがあるという。また、特に女性誌やファッション関係者の間では、あいさつ代わりに「やせたね~」といった体型に関する話題を口にする傾向もあるため、そういった風潮も改めないといけないと語った。

学校教育の一環として摂食障害を学ぶイギリス

精神科医の西園マーハ文医師は、摂食障害先進国・イギリスの取り組みを紹介。イギリスでは、英国摂食障害協会「Beat」が10代の若者向けに製作した摂食障害についてのDVDを小中学校が授業中に上映。学校教育の中で、啓発や予防活動が普及している。

「育ちざかりの少女たちがファッション誌のモデルと自分自身の見た目を比較して、自己肯定感や自己評価を得られず悲しんだり、無理なダイエットを実践したりするのを防ぐために、女性誌の写真は大勢のプロによる最新技術が結集してつくられた非現実であること、現実のモデルの容姿は写真とはまったく異なることを、撮影現場の写真などを掲載した教材を使って説明するなど、メディアリテラシーが学校教育のなかで実践されています。こうした取り組みが今後、日本の学校教育においても実践されるようになってほしいですね」。

同協会は会の最後に、当事者と治療者をはじめ、摂食障害に関わるあらゆる人々や組織がつながり、それぞれの力を結集させてこの障害に立ち向かってゆくため、今後も全力を尽くしていくことを宣言した。