米PTCは6月6日~9日まで米マサチューセッツ州ボストンにおいて年次イベント「LiveWorx 2016」を開催している。

今回のLiveWorxでメイントピックの1つとなったのがARだ。2日目の全体セッションではジム・ヘプルマンCEOがキャタピラー社の事例などを紹介しながらIoTにARがもたらす価値を熱心に語ったほか、新AR開発ツール「Vuforia Studio Enterprise」が発表されるなど、イベントを通じてARが大きな注目を集めた。(関連記事:PTC、CADから簡単にARモデルを作成できるVuforia Studio Enterpriseを発表)

全体セッションで行われたキャタピラー社のデモンストレーション

Vuforia Studio EnterpriseのAR開発画面

同イベント内の展示会場では、上述のキャタピラー社以外にもVuforiaテクノロジーの活用例を展示。本稿ではその中から参考出展されていた「ThingWorx Workout Analyzer」を紹介する。

LiveWorx内のイベント会場「XTROPOLIS」

IoT+ARを消費者向けにアレンジ

ThingWorx Workout Analyzerはランナー向けに開発されたデモンストレーション用ARコンテンツ。

まず、ユーザーはスマートフォンでThingWorx Workout AnalyzerのWebサイトにアクセスし、予め設定された3種類の靴から任意のものを選択する。ユーザー情報を登録すると、スマートフォンで歩数や歩行距離、消費カロリーを計測可能になる。この情報はThingworxテクノロジーによりVuforia Studio Enterpriseで作成されたARコンテンツとひも付けられる。

ThingWorx Workout AnalyzerのWebサイト。靴は3種類から選択可能。ユーザー情報を登録すると歩行情報の記録が始まる。

計測後、スマートフォンでARビューワーアプリ「Vuforia View Enterprise」を立ち上げて、選択した靴に貼り付けられたマーカーを読み取ると、スマートフォンで計測した歩行情報がAR表示される。さらに、収集したデータを解析することでユーザーの歩き方に適した靴を提案し、購入を促すという仕組みになっている。

(左)実際の靴にマーカーを配置。(右)スマートフォンでマーカーを読み取ると、歩行情報を表示するほか、歩き方に適した靴を提案。写真ではわかりづらいが、提案された靴の製品名がスマートフォンの画面右端に表示されている。

ARはフィールドエンジニア向けの作業手順書の作成や、製品開発におけるデザイン検討だけでなく、このようなマーケティングツールとしても有望視されている。あくまで同イベント用のデモンストレーションではあるが、ThingWorx Workout AnalyzerはIoTとARを消費者向けにどう落とし込めば良いかを実践的に示した例だといえる。