5月18日からの3日間、Googleの年次開発者イベント「Google I/O 16」が開催された。会場はサンフランシスコではアップルのWWDCでおなじみのモスコーンセンターから、米国カリフォルニア州マウンテンビューの、Googleキャンパス向かいにあるシュアライン・アンフィシアターへと移された。屋外会場である。

初日は強い陽射しでで気温も上がり、芝生の上で聞く基調講演や、広大なエリアに散らばる展示からは、熱気がとてつもなく感じられた。2日目、3日目は日差しは変わらないが強風で時折肌寒い。参加者は爽やかで目まぐるしく変化もする、北カリフォルニアの気候を満喫できたのではないだろうか。

前回、AppleのSiriとの生活について話してきたが、Googleの基調講演では、人工知能を活かした対話型のインターフェイス「Googleアシスタント」を披露した。

その活用方法として、Amazon Echoのような家の中で音声のみで利用する据え置き型デバイス「Google Home」を披露したが、それだけではなかった。チャットアプリAlloで、テキストでのGoogleアシスタントの活用方法を示したのである。

Google Home

Alloは、Googleアシスタントを内蔵しており、チャットの中で欲しい情報を調べたり、レストランの候補をあげたり、店と時間を選んだら予約を取ることもできる。

いままでも、「LINE」のトークで夕食の約束をすることはあったが、いちいちウェブブラウザのアプリに切り替えて検索してはLINEに戻って、を繰り返しながら予定を決めていた。アプリ切り替えなしでの操作を実現した点は、大きな進歩になるのではないか、と思う。Alloが流行れば、の話ではあるが。

そうしたコミュニケーションをアシストする人工知能の活用は非常に画期的な変化をもたらしてくれると予測されるが、もう一つ、AlloについてGoogleがうまいな、と感じたのは、Googleアシスタントを文字で使わせる点だ。

前回、いくら音声アシスタントが充実しても、その使い方を学ばなければ使いこなせないのであれば、既存のコンピュータと比べても、大きなイノベーションが起きないのではないか、と指摘した。

それどころか、声で操作するという新たな「操作方法」を習得しなければならず、自然言語のはずが、慣れている視覚と指先での操作よりも不自然なものになってしまう可能性すらある。慣れこそが最大の「使いやすいインターフェイス、もしくはユーザー体験」だからだ。

そこで、Googleは、完全に音声のみで利用するGoogle Homeと、文字でGoogleアシスタントを活用できるAlloの2つのオプションを提案した。もし指先に慣れている人であれば、先に文字ベースのGoogleアシスタントを体験し、使い方に慣れてから、音声のみの環境へと移行できるようになる。

据え置き型のデバイスよりも、手首に装着しているスマートウォッチでGoogleアシスタントが動作するようになれば、理想的ではないだろうかと筆者は考えるようになってきている。