Siriはもともと、App Storeに登録されていたアプリから出発している。2010年にAppleが買収し、2011年発売のiPhone 4SにiOSの機能として組み込まれて現在に至る。

Siriの創業者であるDag Kittlaus氏はすでにAppleを離れており、5月9日にニューヨークで開催されていたTechCrunchのイベントで、新しい音声アシスタント「Viv」を披露した。Vivのテーマは「動的なプログラム生成」であり、積み重ねの質問と、サードパーティーアプリとの連携が目玉だ。

Siri開発メンバーによる新しいAIボット「Viv

動的なプログラム生成については、音声アシスタントの現在の使い方である「一問一答」を脱するための手段だと言える。質問の意図や文脈を理解した上で、音声アシスタントが持つ能力を自分で組み合わせて、ユーザーのニーズに応える仕組みを持つことになるのだ。

例えば、「東京ドーム3個分ってどのくらい?」という質問をしたとする。ちなみにこの質問は、ダンス☆マンの楽曲名から拝借した。

音声アシスタントが、「東京ドーム3個分」というデータを持っていたり、その検索結果にたどり着ければ、すんなり答えられるだろう。しかしそうでなかった場合、前述のプログラム生成が威力を発揮することになる。

まず、東京ドーム1個分の面積は、検索から「46,755平方メートル」であることはわかる。次に、この「46,755平方メートル」を3倍すれ四則計算をすれば、「140,265平方メートル」という答えが導き出せる。

ならば、「伊豆大島は、東京ドーム何個分?」という聞き方にも対応できるはずだ。ちなみに答えは、1,947.6個分、四捨五入して1,948個と答えられるとさらに賢く親切といえるだろう。

1つ1つの動作は、情報の検索や単位変換、四則演算、比較など、さほど難しいことではないはずだ。ただ、これを1つの命令から読み取って、自分で解決策を見つけ出し、答えを返す仕組みがなければ、「それはできません」「質問の意味がわかりません」となってしまうだろう。