日本製紙は4月27日、タイ国SCGパッケージング フィブラス事業部門会社(PPPC:Phoenix Pulp and Paper)が保有する木質バイオマス資源を活用し、タイにおいてトレファクション技術を用いた木質バイオマス燃料「トレファイドペレット」の生産実証設備を設置する共同研究開発契約を4月21日付で締結したことを発表した。

トレファクションとは、比較的低温で木質バイオマスを炭化させることで、通常の炭化より熱量を大幅に残すことができる技術。トレファイドペレットは同技術を利用した燃料で、木質バイオマスをそのままペレット化したものや木質チップに比べて、耐水性、粉砕性に優れ、エネルギー密度が高まることによる物流費低減などのメリットが期待されている。

共同研究開発では、このトレファンクション技術の事業化を視野に入れ、年間約8000トン規模の実証生産を行っていく。生産実証設備は、タイ東北部にあるPPPCの工場敷地内に設置し、原料となる木質バイオマスは近隣の日本製紙植林地から調達する。2017年春からトレファイドペレットの生産を開始し、日本製紙釧路工場の微粉炭ボイラーでの混焼試験を経て、同年12月末を目処に事業化に向けた見極めを行っていく予定。

なお日本製紙は、事業化実現の際に年産8万トン規模の商業生産設備を設置することを想定しており、今回の共同研究と並行して三井物産と共同でアジアを対象とした市場調査も行っていくとしている。

トレファクション技術を用いた新規バイオマス固形燃料(出典:日本製紙Webサイト)