オムロン ヘルスケアは4月18日、手首に機器をつけるだけで心臓の拍動の1拍ごとの血圧を測ることができる連続血圧測定技術を開発したと発表した。

心臓は1日に10万回程度拍動し、1拍ごとに血圧が変動している。このなかで、夜間や早朝の高血圧や急激な血圧変動が、脳・心血管疾患の発症リスクを高めると指摘されている。しかし、現在ほとんどの家庭用血圧計で採用されている血圧測定方式のオシロメトリック法では、カフで上腕や手首の血管全体を圧迫し血流を一時止める必要があり、負荷なく連続して血圧を測ることができないため、リスクの高い急激な血圧変動を捉えることができなかった。

そこで同社は今回、手首の体表近くにある橈骨動脈に圧力センサを平らに押し当てて、1拍ごとの血圧を測定する血圧測定方法であるトノメトリ法を同技術に採用した。

従来のトノメトリ法では、手首でとらえた1拍ごとの血圧値と、上腕で測った血圧値を照らし合わせる必要があり、大型の機器を使った複雑な測定が必要だったが、今回開発されたセンサでは、圧力センサ46個を1列にならべ、半導体、MEMS、集積回路技術など同社のセンシング技術の組み合わせたことにより、正確な血圧測定に必要なセンサ精度を満たすトノメトリ法による血圧測定を実現。さらに、センサを2列に配列し、センサが正しく血管を圧迫しているかを検知し、それぞれのセンサから得た圧力情報をもとに、その人にあった最適なセンサの角度を自動的に調整する機構を構築したことで、手首につける機器のみで1拍ごとの血圧を測ることが可能となった。

なお同機器を使った研究開発が、自治医科大学、九州大学と同社の共同研究として日本医療研究開発機構(AMED)の「ICTを活用した診療支援技術研究開発プロジェクト」に採択されており、現在、夜間の連続血圧測定が可能なプロトタイプが完成。3月より、同プロトタイプを活用した臨床研究がスタートしている。

センサの全面図