SSL/TLS証明書を無料で発行する取り組むLet's Encryptは4月12日、ベータ版から正式版として運用することを発表した。2015年9月にベータとして運用開始以来、380万以上のWebサイト向けに170万件以上の証明書を発行したという。

Let’s Encryptは非営利団体「Internet Security Research Group(ISRG)」が中心となって立ち上げた新しい認証局(CA)。HTTPよりも安全なプロトコルであるHTTPS通信に必要なSSL/TLS証明書は取得にまつわるコストと手間を削減すべく、無料、自動化、オープンという特徴を持つ。

オープンソースを推進する「Linux Foundation」傘下のプロジェクトで、創業スポンサーであるCisco SystemsやAkamai Technologiesに加え、Mozilla、Google Chrome、電子フロンティア財団(EFF)、Facebookなど多数の団体や企業が出資する。

立ち上げは2014年11月で2015年9月に限定ベータをスタート。その後、12月3日にパブリックベータとなって一般に公開した。証明書発行数は2016年3月に100万件、4月中旬の段階で170万件を超えるなど、順調に増加している。

Let's Encryptは同日、CiscoとAkamaiがプラチナスポンサー契約を更新し、今後3年間プラチナスポンサーとして支援することを発表した。また、ゴールドスポンサーとしてGemalto、シルバースポンサーとしてHewlett Packard Enterprise、Fastly Duda、RliableSite.netが加わったことも報告している。

暗号化通信を巡っては、証明書のSHA-1が早ければ7月にも廃止されることなどを受け、ヤフーも全サービスの常時SSL化を6日に発表している。2019年にはトラフィックが100%暗号化されるといった予測もあることから、Let's Encryptなどのオープンな認証局の存在は注目を集めそうだ。