ルネサス エレクトロニクスは4月13日、直流電力を供給する給電機器に向け、Power Delivery(USB PD) 3.0に対応した電源IC「RAA230161」を開発し、同月よりサンプル出荷を開始すると発表した。

USB PDは、ノートPCやデジタル一眼レフカメラなど、従来はUSBで給電できなかった機器へのUSBケーブルを介したDC給電が可能な規格。具体的には、従来のUSB規格である最大7.5W(5V/1.5A)に加え、15W(5V/3A)、27W(9V/3A)、45W(15V/3A)、60W(20V/3A)、100W(20V/5A)を基本としたパワールールが設定されている。このため、電源回路設計では、USB PD規格に即した複数の電圧レベルのサポート、出力電圧の切り替え、大電流対応などの難しさがある。また、大電力化に伴い発煙・発火の懸念も増加するため、安心・安全をより考慮した設計が必要となる。

新製品は、最大95%の電力変換効率を実現しているため電力損失が少なく、大電力化に伴う発熱を抑制することができる。また、USB PD 3.0に対応しているため設計容易化が可能、各種保護回路の内蔵により安心・安全な給電機器を省スペースで実現できるなどのメリットがある。また、同社製USB PD 3.0コントローラIC「R9A02G011(旧名μPD720251)」と新製品を搭載した各種リファレンスボードを順次提供していく予定で、より高い安全性実現と同時に開発期間短縮に貢献するとしている。

サンプル価格(税抜)は1000円/個で、量産は9月より月産50万個で開始する計画となっている。