テレビ朝日の鉄道紀行番組『世界の車窓から』が29日、放送1万回を迎える。現在放送中のテレビ番組では、昨年5月に放送1万回を迎えた『徹子の部屋』に次ぐ快挙だという。節目を迎えるにあたり、放映開始以来29年間にわたってナレーターを務める俳優の石丸謙二郎さんがコメントを発表した。

『世界の車窓から』1万回目の放送では、インド北西部ラジャスタン州を走る列車が紹介される

石丸さんは、「役者としての黎明期から始めているから、ナレーションだけでなく役者としても育ててくれた番組です」と番組への感謝を述べた。放送1,000回を迎える頃、「これにあと0がもう1個つくとスゴイね」と冗談で言っていたというエピソードも明かし、「そんな馬鹿な、そうしたらおじいちゃんになってるよなんて笑っていたんです。それが、まさか現実になるというのが面白いなぁと」と話した。

ナレーターの石丸謙二郎さん

番組が長く愛される理由については、「番組を変えなかった、いい意味のマンネリがあるからだと思います」と分析。番組スタッフからナレーションについての指示を受けたことは一度もなく、列車の車窓を眺めるようにモニターを通して現地の風景を眺めつつ、「そのときの気分、初見で映像を見たときに感じたもの」をナチュラルに語っているのだという。

これまでの放送で印象に残っているのは、タンザニアにある「列車の墓場」。坂道の頂上で突然途切れる線路に鉄道車両を走らせ、そのまま坂の向こう側に落として処分する場所で、「それを見るためだけに、そこに行ってみたいですね」と石丸さんは言う。

放送1万回の節目にも、「お正月を迎えたような区切りはあるんですけど、ただ通り過ぎるんじゃないかなと思います」と気負いはない。「その前夜の9,999回が楽しみ。『世界の車窓から』の大晦日という感じで、カウントダウンに気持ちが高まる気がします。ドキドキする。意外に1万回を迎えてしまうとリフレッシュして次に向かう気持ちになるのかな」と心境を語った。

記念となる1万回目の放送では、インド北西部・ラジャスタン州の古都ジョードプルを出発。300km西のオアシス都市ジャイサルメールまで、広大なタール砂漠を走る新たな旅の始まりの様子が放映されるという。