環境省はこのほど、日本の温室効果ガス排出量を2050年までに80%削減するとの長期目標を達成するための行動計画をまとめた。行動計画は「パリ協定から始めるアクション50-80」と題し「長期低炭素ビジョンの策定」など11項目の実現を目指している。

図 「パリ協定から始めるアクション50-80」概況(環境省公開資料より)

昨年12月に採択された地球温暖化対策の新枠組み「パリ協定」は各国に長期的な対策や戦略を含む行動計画をつくることを求めている。今回まとまった行動計画は冒頭「50年(までの)80%削減目指し、今から具体的なアクションを起こすことが必要で、社会構造のイノベーションを実現する」と明示した。11項目の柱となるのは「長期低炭素ビジョンの策定」で、「社会構造の低炭素化は『高度成長』以来の大変革で国のビジョンが必要」「目指すべき社会像を提示して国民、企業の行動を喚起する」などとしている。同省は中央環境審議会などで同ビジョンの具体的な内容を検討し、早ければ2016年度中に策定したい考えだ。

行動計画はまた、「一人ひとりの取り組み」として、「低炭素」の商品やサービス、ライフスタイルを国民が選択する運動を推進し、「まち・ふるさとでの取り組み」として、地域で再生可能エネルギーをつくり、融通することなど地域レベルの温暖化対策の推進を目指す。「未来の技術を創る」項目では、高効率の窒化ガリウム半導体やバイオテクノロジーによる素材など、省エネルギーに有効な技術開発を進める、とした。

行動計画はこのほか「低炭素な投資を進める」ことも盛り込み、「投資家の炭素資産離れ」を指摘した上で炭素税や排出量取引制度など二酸化炭素(CO2)排出に値段を付ける手法を例示している。

政府は、長期目標として「50年80%削減」を盛り込んだ「地球温暖化対策計画」を今月はじめにまとめ、5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)までに閣議決定する。環境省の計画は、政府の計画を受ける形で別途国民、民間、地域レベルでの取り組みなどをまとめた内容になっている。

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