日経BPコンサルティングは3月25日、ブランド価値評価調査「ブランド・ジャパン2016」(回答者数:約5万6000人)の結果をまとめ、調査報告書を発行・発売した。

調査によると、BtoC編「総合力」ランキングでは88.4ポイント(偏差値)を獲得したインターネット通販大手のアマゾンが前回の第5位から評価を高め、16年間にわたる同調査の中で初めて首位となった。続く第2位は、前回第7位のGoogle、第3位は前回第2位のYouTubeで、トップ3はイノベーティブさが際立つIT系ブランドが独占した。

アマゾンは2002年度調査の「総合力」第694位から始まり、10年前の2006年度調査で第85位と初めてトップ100入り。2009年度調査以降はトップ50をキープし、2014年度調査以降はトップ5を維持。

そして、今回初の首位となった。商品配送スピードや取扱商品の拡がりはもとより、KindleやFire TVといったハードウェアの提供とそれらを介したコンテンツ配信、さらにはアマゾン ウェブ サービス(AWS)による企業へのクラウドサービス提供まで、時代の流れを的確に掴みながら事業の質と量をともに成長させてきた。

アマゾンの「総合力」を構成する4つの因子別スコア

アマゾンの「総合力」を構成する4つの因子別スコアをみると、「イノベーティブ(革新)」で119.4ポイントと最も高い評価を得ており、同項目のランキングでも首位。前回の94.2ポイントから、25.2ポイントと大幅な伸びを見せた。2012年からは日本国内でTVCMを始めたほか、ドローンによる配送実験のニュースやCEOであるジェフ・ベゾス氏に関する書籍の発行など、消費者へのイメージ浸透を促すトピックも続いており、こうした複合的な要因が特に「イノベーティブ」を向上させ、今回の首位獲得に繋がったと考えられる。

「ブランド・ジャパン 2016」の「総合力」上昇ランキング 上位10ブランド

BtoC編「総合力」第4位には、前回第9位のキユーピーが過去最高位でランクインし、国内ブランドの中では今回のトップとなった。健康や食の安全・安心に関心が集まる中、品質イメージも含む「コンビニエント」で首位のほか、「フレンドリー」でも第3位。長年一貫したトーンの広告展開を図ってきたことに加え、2015年に発売90周年を迎えた「キユーピー マヨネーズ」のキャンペーンが奏功した模様だ。

食品業界では、第7位のカップヌードルにも動きがあった。これまで15年間、常にトップ40に入り続けてきた同ブランドだが、今回初めてトップ10入りを果たした。中でも「なくなると寂しい」は首位で、この評価が反映される「フレンドリー」でも首位。発売から約45年経ても勢いを増しており、カップヌードルを冠する商品は40種類にも達する(2016年3月17日時点の日清食品Webサイトより、サイズ違いも含む)。

BtoC編では「総合力」トップ10の半数が入れ替わったが、BtoB編では順位の変動が少ない。第1位は95.8ポイントを獲得したトヨタ自動車で、5年連続の首位。第2位は前回第4位のパナソニックで、2011年度調査で首位を獲得して以来の高い順位となった。第3位には前回第4位のGoogleが、第4位には前回第3位の全日本空輸が続く。今回トップ10に返り咲いたのは、ソニー、本田技研工業、任天堂の3社。いずれも数年ぶりとなる復活となった。