復活を目指す楽天の釜田佳直

 9勝5敗1分け(.643)の4位で幕を閉じた楽天のオープン戦。あくまでも開幕前の「調整」に主軸が置かれる為、公式戦との相関性を憶測するのは早計と言わざるを得ないが、オコエ瑠偉現象に沸く楽天にとって、ポジティブに捉えてさらなる成熟を目指したいところだ。

 昨季は最下位で大久保博元監督が僅か1年で退任する不本意なシーズンとなった楽天。梨田新監督の下、今季はどんな戦い振りを披露してくれるのか注目が集まっている。相変わらず世間を賑わしている怪物高校生ルーキー・オコエは、周知の通り、梨田昌孝監督本人の口から球団初の高卒開幕1軍スタートとなり、今季の球界がこの男と進んで行く予感を一層高めている。

 そんな楽天において、過去、高卒1年目で活躍した選手として忘れてはならない存在として、釜田佳直がいる。熱戦繰り広げられる選抜高校野球大会でも、2011年に会屈指の剛腕として注目を集めたことを思い出す。そんな釜田は高卒1年目の2012年に20試合へ登板し、7勝4敗の成績を残していきなりブレイク。しかし、13年には右肘を疲労骨折し、秋には手術に踏み切り再起を誓うも、2014年のキャンプでは靭帯を断裂する悲劇に見舞われる。靭帯移植手術を受け、長く険しいリハビリの日々を送ってきた。

 釜田は当時、「ボールを投げられない時期がこんなに早く来るなんて」と語っていたと言う。若くして積み上がったものは、不安定性も高く、崩れ去るのも早いと聞く。釜田にとって、1年目の好成績は、リハビリ中の不安を煽る残像として脳裏をよぎったに違いない。あの舞台に戻れるのか−−。ボールを投げられる当たり前の日々が、とても貴重でかけがえの無い日々であったことを知った若き侍は今、虎視眈々と再起に向かって歩みを進めている。

 春季キャンプ前には楽天の先輩、ヤンキース田中将大と合同自主トレに臨んだ。長く険しいリハビリの日々は釜田に何をもたらしたのか。自分自身を見つめ直し、野球が出来る喜びを噛み締め、今ここに立つ。オコエに沸く楽天だが、選手層の薄さは懸念材料と言える。釜田佳直、この男の復活がチームのカンフル剤となり、東北の地に歓喜をもたらして欲しい。