ほんの少量加えるライムの搾り汁。これが絶妙な隠し味となる

おいしい中国料理を作るためには、やはり中華鍋は欠かせない。中国料理の有名シェフである井桁良樹シェフ(四川料理店「ピャオシャン」)によると、「鉄製の中華鍋は熱伝導率が高く、野菜炒めはシャキッと、炒飯もパラリと仕上がります」とのことだ。

扱い方にはコツがあり、空焼きの方法や油のなじませ方については既報の通りだが、やはり中華鍋は重い。女性が扱うには少々厳しい。ということで、お父さん! 活躍の機会を与えられましたよ!! 日ごろ料理をつくってくれているお母さんに代わって、中華鍋を振ってプロ直伝の絶品中国料理に挑戦してください!

今回は、酢豚をご紹介。味わいのポイントはライム。黒酢にライム果汁を搾り、すっきりとした風味に仕上げている。具材には長芋も使い、ボリューム感を出しながらもシャキシャキとした食感で食べ飽きない味わいを作り出す。

豚肉は、下味をつけて水溶き片栗粉をもみこんで揚げることでカリッとし、黒酢のあんと和えた後もカリカリ感が長持ちする。

ライムで爽やか「究極の黒酢酢豚」

黒酢あんの濃厚な味わいが魅力だが、ライムの風味でしつこくなくいただける。長芋はシャキシャキ感をあえて残しており、さっぱり感を演出

材料(2~3人分)

豚肩ロース肉 100g / 長芋 80g / ワケギ 30g / ライム(スライス) 1枚 / ニンニクみじん切り 小さじ1/2 / 水溶き片栗粉(水と片栗粉同割り 小さじ2と1/2 / ゴマ油 小さじ1/2 / 油 大さじ1

A(油 大さじ1 / 砂糖 大さじ3と1/2 / 醤油 小さじ1と1/2 / 紹興酒 小さじ1 / 黒酢 大さじ2 / 鶏ガラスープ 大さじ3)

B(塩・黒胡椒 各少々 / 紹興酒 小さじ1/2 / 溶き卵 大さじ1)

つくり方

1.Aを合わせ、ライムを搾る。搾ったライムをそのまま漬け込み、10分程置いておく。

2.豚肩ロース肉はBと合わせ、下味を付ける。水溶き片栗粉(小さじ2)をかけて軽くもみ込み、180℃の油で揚げる。色付いたら一度引き上げ、油の温度を200℃に上げた後、油に戻し入れ軽く揚げる。

3.長芋は皮をむいて1.5㎝幅を目安に輪切りにする。180℃の油でサッと素揚げする。

4.中華鍋を熱して油をなじませ、ニンニクのみじん切りを炒める。香りが出たら1を加えて加熱し、沸いたところでライムを取り除く。少し煮詰めた後、水溶き片栗粉(小さじ1/2)を加えてとろみを付け、ゴマ油を加える。火を止めてから、ザク切りにしたワケギ、2と3を加えてさっと和え、器に盛り付ける。

「豚肉を揚げる際に衣がはじけやすいので、高温で揚げてください。長芋を揚げる際は"半生"程度にとどめておいてください。しっかり火を通してしまうとシャキシャキ感はなくなり、ホクホクした食感になります。もしケチャップベースの酢豚にする際は、ライムよりレモンのほうが相性がいいですね」(井桁シェフ)。

著者プロフィール

「老四川 飄香」オーナーシェフ・井桁良樹さん
2005年4月に東京・代々木上原に「老四川 飄香」を出店。中国での修業経験を生かしつつ、独自のアレンジを加えた本格四川料理が評判となり、連日予約で席が埋まる人気店に。現在は本店を東京・麻布十番に移し、東京・銀座に「銀座三越店」も展開。店名は、"OLD四川が漂い香る"という店のコンセプトから付けた。日本人向けに、直接的ではなく香りで辛さを感じるような独自の工夫を行なっている。