オートデスクは3月22日、「Autodesk Revit」をはじめとする建築・土木インフラ業界向けアプリケーションの新バージョンに関する説明会を開催した。

Revit、Infraworks 360が機能統合

まずは今回発表された新ソリューションの主なものを見ていく。

BIMアプリケーション「Autodesk Revit 2017」では、これまで意匠設計向け、構造設計向け、設備向けにそれぞれ分けて提供していたアプリケーションを統合。これにより意匠設計、構造設計、設備を「Revit」1つで対応できるようになった。

機能面では新しい奥行き表現とテキスタイルエディタを採用したほか、詳細なモデル表現か可能となる鉄骨ジョイントが提供される。また、設備設計モデルを製造用パーツに簡単に置き換える機能も搭載された。価格は35万3000円(税別、シングルユーザー、1年間サブスクリプションの場合、以下同)。4月14日発売。

なお、3D詳細設計と図面作製、設計図書の作成機能に特化した「Autodesk Revit LT 2017」も提供される。価格は6万6000円で4月14日発売。

「Autodesk Revit 2017」の新機能

3Dモデルの統合、4D/5Dシミュレーション、フォトリアリスティックなビジュアライゼーションを行うプロジェクトレビューソフトウェア「Autodesk Navisworks 2017」では、同社の2017バージョン製品への対応に加えて、他社製品との連携が強化された。価格は「Autodesk Navisworks Simulate 2017」が12万8000円で、干渉チエック機能を加えた「Autodesk Navisworks Manage 2017」が38万5000円。両製品とも3月22日の発売。

「Autodesk Navisworks 2017」では他社製品との連携を強化

CIMアプリケーション「Autodesk Infraworks 360」では、これまでオプションだった道路設計、橋梁設計、排水設計を統合したほか、道路計画時の降参点やランプ、環状交差点などの詳細な形状を柔軟に変更することができるようになった。また、プレビュー機能として点群データを地表面と構造物に自動分類し、地表面からサーフェス作成する機能が搭載された。価格は24万1000円。発売日は4月19日。

「Autodesk Infraworks 360」もRevitと同じく機能を統合

スキャンデータの可視化、計測、編集を行う「Autodesk ReCap 360」は引き続き無料で提供されるほか、サブスクリプション版の「Autodesk ReCap 360」「Autodesk ReCap 360 Ultimate」が「Autodesk ReCap 360 Pro」に統合される。価格は4万6000円で、3月22日発売。「Autodesk ReCap 360 Pro」では、人影などのノイズを低減する点群のクリーンアップサービスや、スキャンデータをメッシュ変換する機能が新しく搭載された。また、写真データに埋め込まれたGPSデータをサポートしたほか、レーザースキャンからの点群と写真ベースの点群の統合が可能となった。

「Autodesk ReCap 360」の新機能

土木設計に特化したCADである「AutoCAD Civil 3D 2017」では、計画線から直接コリドーを作成する機能や土工平面図作成機能などが追加された。価格は32万1000円で、4月19日発売。

平面線形、縦断線形を作成しなくてもアセンブリだけでコリドーが作成可能に

Integrated BIMを推進

同説明会では、同社のAECビジネス・デベロップメントマネージャーである内山敏昭氏が登壇し、国内の建築・土木インフラ業界に向けた事業戦略について説明した。

同氏によればオートデスクは建築・土木インフラ業界を含む「ものづくり」業界が人とテクノロジーがつながる「つながりの時代」にあると捉えており、その中でプロジェクト関係者全体をつなげるIntegrated BIMの提供を軸にしていくという。また、ビジネスモデルも永久ライセンス契約からサブスクリプション契約への移行を進めることで、「つながりの時代」において求められるソリューション導入の柔軟性を高めるとともに、導入の初期投資の低減を図る。さらに、クラウド製品の提供を通じてリアルタイムなプロジェクト連携をサポートしていくとした。

日本市場については建設産業における2DからBIMへの転換に向けて、BIMアプリケーション「Revit」を中核製品として位置づけ、設計事務所、ゼネコンの設計部署だけでなく見積、調達、施工関連部署に対するプロモーションを強化していく。また、パートナーやユーザーグループと連携しながら意匠、環境、構造、設備設計などさまざまな用途への対応を推進する。Integrated BIMについては日本設計に続く有効活用企業の拡大を目指すほか、他社のアプリケーションとの相互運用性を向上させていくとした。「BIMの登場から10年だが、まだまだ活用されていない。ビジュアル中心の使い方でワークフローの改善にはつながっていない。」(内山氏)

また、CIMについては国土交通省が打ち出している「i-Construction(ICT技術を活用し建設現場の生産性を向上させることを目指す取り組み)」の促進をサポートし、CIM施行案件を支援していく。また、鉄道や高速道路など交通インフラ業界に向けたプロモーションを展開していくとした。