異国の地で払いすぎた医療費は取り戻せるのか

国や地域によって差はありますが、海外では医療費が高いという話をよく聞きます。特に海外では日本の健康保険が使えないため、医療費の全額を支払わなければなりません。

日本では、入院や手術などで大きな額の医療費を支払ったときに、公的医療保険の「高額療養費制度」があり、定められた自己負担限度額を超える場合は、その超過部分が払い戻されます。では海外で高い医療費を支払った場合にも、日本の「高額療養費制度」は適用されるのでしょうか。

高額療養費制度を理解する

まずは日本の公的医療保険そのものについて、制度を確認してみましょう。日本では病院などの窓口でお金を払うときは「自己負担分」を支払いますね。年齢によって異なりますが、現役世代の人なら一般的には3割です。

それでも日本の公的医療保険では、ひと月(1日から月末まで)当たりの「自己負担限度額」が決められていて、実際に1カ月に支払った医療費が自己負担限度額を超えた場合に、その超えた分を後日払い戻してくれます。これが高額療養費です。自己負担限度額は被保険者の年齢や所得状況、直近1年間に高額療養費の支給を受けた回数などによって異なります。

海外療養費の仕組みを学ぶ

さて、海外で医療費を支払った場合には「海外療養費」のお世話になりますが、これは3割の自己負担分に相当するもの。海外ではいったん全額を自己負担で払いますが、後日に自分が加入している健保組合などに申請をすることで健保(または国保)が負担するべき分を払い戻してくれるというものです。

ただし、「その医療行為が日本国内で保険診療として認められているものであること」「日本国内の医療機関等で同じ傷病を治療すると仮定した金額に基づく」などの条件があります。