ルネサスエレクトロニクス(ルネサス)は3月10日、太陽光発電のパワーコンディショナやUPS(無停電電源)システムのインバータ用途向けパワー半導体として第8世代IGBT「G8Hシリーズ」を発売した。

太陽光発電システムにおいては太陽光によって集めた直流(DC)の電流を交流(AC)に変換するインバータ回路を通過する際に損失が発生する。この損失の多くはパワーデバイスが大半を占めており、IGBTの電力損失を少なくすることがシステムの発電性能に直結している。また、UPSシステムは停電をしていないかチェックするため、電力は常時電力変換回路を経由する必要があり、稼働しているだけで定常的に電力損失が発生する。この電力損失の抑制においてもIGBTの性能が重要となる。

G8HシリーズはパワーコンディショナやUPSシステムのインバータ回路用途に再適化するためプロセス構造に独自のトレンチゲート構造を採用。これにより、IGBT性能指標となる高速スイッチング特性の向上と飽和電圧Vce(sat)の低下による道通損失の低減を両立した。性能指数は第7世代IGBTと比べて最大30%改善しており、無駄な電力損失を削減し、システムの電力効率の向上に貢献する。

新製品は、650V/40A、50A、75Aの3製品、1250V/25A、40A、75Aの3製品で計6製品を用意しており、さまざまなインバータ回路方式、出力容量に応じて製品を選択することができる。サンプル出荷を本日より順次開始し、サンプル価格は650V/50Aの「RBN50H65T1GPQ-A0」が330円/個(税別)。量産は2016年9月より開始し、2017年3月には月産60万個を計画している。