もやもや病は中高年と子供がなりやすいとされている

ユニバーサル ミュージック ジャパンはこのほど、所属する歌手・徳永英明さんが「もやもや病」(ウィリス動脈輪閉塞<へいそく>症)と診断され、手術を受けたことを明らかにした。病名を聞いただけでは、いまいち具体的な症状が浮かんでこないもやもや病だが、その実態はどのようなものだろうか。

本稿では、高島平中央総合病院脳神経外科の福島崇夫医師の解説をもとに、もやもや病の症状や原因についてわかりやすく紹介する。

30~50歳の中高年と子供に発症が多い

もやもや病はわが国で最初に発見され、脳に栄養を送る太い動脈(内頸<けい>動脈)が何らかの原因で詰まり、不足した血液を補うために内頚動脈から細い動脈が発達することで起きる。この異常に発達した細い血管網を脳の画像で見た際、たばこの煙が立ち込めているかのように見えたところから「もやもや病」と名付けられたとも言われている。

もやもや病はアジア系人種での有病率が高く、欧米ではあまり見られない。女性の発症率が男性よりもやや高いとも報告されており、発症年齢のピークは「5~10歳」と「30~50歳」の2つに大別できる。

子供が泣いたり走ったりした際は注意

気になる症状と発症のトリガーは年齢によって異なり、一般的に脳虚血(きょけつ)で発症する「小児型」と脳出血、脳虚血いずれの症状でも発症する成人型に分けられる。

小児では、内頚動脈が狭窄(きょうさく)もしくは閉塞するもやもや病の症例では、過呼吸状態になると脳に必要な量の酸素が行きわたらなくなり、「一過性虚血性発作(TIA: 脳梗塞を発症する前の前触れ的な発作)」が起きる。TIAは一時的なもので何度か繰り返す場合が多いが、重度なケースでは脳梗塞につながり、運動障害・言語障害・知能障害・視力障害などが後々まで症状として残る。

具体的には、「興奮して泣きじゃくる」「熱い食べ物を息で吹いて冷ます」「音楽の授業でリコーダーを使用する」「全力疾走する」などで「過呼吸状態」になった際、脳卒中のような発作(言語障害、視力障害、意識障害、感覚異常)が一時的に出現したり、その他の症状として不随意運動やけいれん、頭痛などが確認されたりしている。5~10歳頃の子供を持つ親は、このような過呼吸状態時に子供の様子に変わりがないか注意をする必要がある。