退職したときは「職業訓練受講給付金」も

転職や起業を目指して現在の会社を退職したものの、予定が狂って失業状態になってしまうこともなくはありません。自己都合の退職の場合、雇用保険の基本手当(失業手当)を申請しても3カ月間の待機期間があります。退職して落ち着いてから新しい職を探す、起業プランを練るという場合は、早めにハローワークに求職申請をしておきましょう。

自己都合退職では、失業手当の支給期間は雇用期間への加入期間によって90日~150日分。思い通りに転職できず、失業給付金も受給しきった場合、「求職者支援制度」の利用可否を確認してみて。これは、雇用保険の受給終了のみならず、雇用保険の非適用、加入期間不足などで雇用保険からの失業手当が受給できない場合の支援制度です。

ハローワークによる支援指示に基づき、民間の教育訓練機関や公共職業訓練など無料で受講できるのに加え、「職業訓練受講給付金」、ハローワークの就職支援が受けられます。このうち職業訓練受講給付金は金銭としての支給。

本人および世帯の所得制限等を満たせば「職業訓練受講手当」として月額10万円、加えて「通所手当」として通所経路に応じた所定の金額(上限額あり)が支給されます。当然ながら求職者であること、不正受給でないことが前提です。

60歳以上は「高年齢雇用継続給付」

リタイア年齢に達しても働き続ける、あるいは新たなキャリアを形成するという人もいるでしょう。特に公的年金が開始される65歳まで、収入を安定させるのも大切なことです。60歳を超えるビジネスマンなら「高年齢雇用継続給付」の適用を確認してください。

「高年齢雇用継続給付」は2種類。1つは60歳以降も継続して働き続ける人の「高年齢雇用継続基本給付金」、2つ目は、いったん退職し雇用保険の基本手当てを受給している人が再就職した場合の「高年齢再就職給付金」。いずれも60歳以降の賃金が60歳時点に比べて75%未満に低下した場合に、低下部分を補うための給付です。

現役ビジネスマンからシニアまで、お金の形で国がキャリアを応援する制度を見ました。こうした制度をうまく活用して、自分の目標に向かって頑張ってください。

筆者プロフィール:武田明日香(たけだ あすか)
エフピーウーマン所属、ファイナンシャルプランナー。日本テレビ「ZIP!」やTBSテレビ「あなたの損を取り戻せ 差がつく! トラベル!」「Saita」「andGIRL」等の雑誌、「webR25」「わたしのマネー術」等のウェブサイトなど幅広いメディアを通じ、お金とキャリアの両面から女性が豊かな人を送るための知識を伝えている。人生の"やりたい"が"できる"に変わるお金の教養スクール開講中!

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