東京医科歯科大学(TMDU)は2月16日、これまで治療が困難だった重症の先天性肺胞蛋白症患児に対して造血細胞移植による治療に成功したと発表した。

肺胞蛋白症とは、肺胞内に肺サーファクタント(肺胞の表面張力を減少させるための肺表面活性物質)が異常に貯留する疾患で、有病率は100万人あたり6人という希少疾患。そのうち先天性のものは1%とされ、極めて稀だ。

今回、造血細胞移植を受けたのは埼玉県在住の1歳女児で、肺胞蛋白症の原因は樹状細胞の欠損によるものと考えられたため、同治療法による治癒が望めると判断された。女児は2015年7月に造血細胞移植を受け、移植後さまざまな合併症が生じたものの賢明な治療により回復、同年11月に退院することができた。

移植後は樹状細胞が回復し、肺胞蛋白症が改善したが、なぜ女児で樹状細胞が欠損していたかはわかっておらず、同大において原因解明に向けた取り組みが進められている。今後、原因が明らかになればより安全で効果的な治療法の開発につながると期待されている。

発症時に認められた浸潤影が移植後105日で消失した