岡山大学はこのほど、ロボット制御知能3D-MoS(3 Dimension Move on Sensing)を搭載した「自律制御型水中ロボット3D-MoS/AUV(ももたろう岡大1号)」を開発し、実海域での嵌合実験に成功したと発表した。

同成果は同大大学院自然科学研究科(工)の見浪護 教授の研究グループと広和によるもの。

ももたろう岡大1号は従来型の遠隔操作型水中ロボット(ROV)に、複眼カメラと3D-MoS制御知能を搭載した長時間潜行/作業対応自立制御型水中ロボット。複眼動画像に対する実時間認識、水中対象物の3次元位置・姿勢自動認識、海底での自動充電、移動対象物の追尾制御を可能とする3D-MoS制御技術により、自動制御化を実現している。

同研究グループは、2015年12月に和歌山県の実海域(水深4~5mの港内)での嵌合実験を実施。海流と波による振動を3D-MoS技術で抑制することで自動嵌合に成功した。

和歌山県実海域での嵌合実験の様子:「ももたろう岡大1号」が自動で、水中赤青緑の球からなる立体マーカーを認識(写真左、青の球は見えていない)し、立体マーカーに対して Visual Servoing制御を実施。立体マーカーに対し正確に「ももたろう岡大1号」を接近させることで船体横の嵌合棒を黄色の対象物に挿入し、自動嵌合に成功した。

今後、3D-MoS技術を搭載したロボットの開発が進めば、自動給電による長時間の自律化連続運転作業が行えることから、水中放射線汚染物の回収や深海底資源探査、機雷撤去などへの利用が期待される。